2010-01-01から1年間の記事一覧

海炭市叙景

★★★★☆ 同じ街に住む、しょっぱい人生を歩む人々の、それぞれの数日間がオムニバス形式で描かれる。どんな人にも、それなりのドラマがあり、それはその人にとっては逃げることのできないものなのだという当然であり残酷でもある真実が、まざまざと露呈する。…

ウィンター・ソルジャー ベトナム帰還兵の告白&ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実

★★★★★ 四の五の言わずに、一度は観ておくべき二本の歴史的ドキュメンタリー。戦争がいかに人間性を破壊するか、という事実がこの2作でいやというほどわかる。小・中学校の授業で見せるべき。

十三人の刺客

★★★☆☆ 『シグルイ』精神が注入された狂気のデスウイッシュ時代劇。テレビ局出資の作品なのに、絶対にテレビで放映不可能なシーンを平然とぶちこんでくる三池監督のやんちゃぶりに、「ああ、この人変わってないなあ」とホッとする。最近は、単に黒木メイサに…

息もできない

★★★★★ 主人公のあまりにも切なすぎる運命に泣くしかない。暴力の連鎖に翻弄された人生の哀しさを描くことで、観客の胸の中に切り込んでくる「暴力論」としても観ることができる。児童虐待、DVなどの問題が社会問題化している日本でこそ、より多くの人に観…

ハングオーバー

★★★☆☆ 登場人物たちのオレオレっぷり(除くアラン)と、俺らがハメをはずすのは笑って許されるべき、と頭から信じきって疑わない能天気ささえスルーできれば、極めてよくできたコメディとして笑ってすませられる作品。

ゾンビランド

★★☆☆☆ 観た後には別に何も残らないが、まあまあ楽しめる佳作。この監督は、おそらくゾンビにも青春映画にも思い入れは全くない。しかし、その愛のない仕事ぶり――今どきのガキはゾンビ出しときゃいいんだろ?的な――が逆にいい方向に働いたパターンである。こ…

ぼくのエリ 200歳の少女

★★★★☆ 邦題がだせえ。「モールス(原作小説のタイトル)」で良かったのに。 否応なく「運命の女」に出会ってしまい、人生が狂ってしまう男の物語というのは古今東西を問わず語られてきたが、本作は、主役の男女ともが12歳で、しかも少女の方はヴァンパイアだ…

インセプション

★★★☆☆ 「他人の夢の中でのミッション・インポッシブル」というアイデアと、映画のスケールが合っていない。このアイデアでは、この長尺には見合わない。せいぜい1時間30分で十分というところ。夢の中におけるアクションという点については、「マトリックス…

恐怖

★★★☆☆ ホラー番長・高橋洋の集大成にしてネクストレベル。はっきり言ってすごいことをしてると思うのだが、観る人によってはむやみに難解な話でしかないかもしれない。またもや十八番の「呪われた映像」の話かよと思いきや、文字通り別次元の方向へ有無を言…

アイアンマン2

★★☆☆☆ ものすごく自己中心的かつ歪んだ性格で、しかもいい年こいてファザコンで、おまけにアル中の気がある中年男がスーパーヒーローっていうのは、なるほど斬新かもしれないが、本当に観客に求められているのだろうか。「こんなヤツだけど根はいいヤツ」っ…

サバイバル・オブ・ザ・デッド

★★☆☆☆ 一言で言って「ヘタ」あるいは「雑」。西部劇をやりたかったのはわかるが、そこへの持って行き方が強引すぎる。だいたい西部劇なのに主なアクション場面が全部夜ってどうなの? クライマックスも夜だし、訳わかんない場所でちまちまやってるし、スケー…

アウトレイジ

★★☆☆☆ タイトルに偽りあり。全然「極悪非道」感が出ていない。フィクションのヤクザ像と実像のギャップをネタにしたブラックコメディにした方が、むしろいけたのではないか。これまでと違うことをやろうと意識しすぎて失敗した感あり。あまりにも常識的かつ…

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

★★★☆☆ ジョニー・トー流「メメント」あるいは「博士の愛した数式」。 パフォーミング・アートを思わせるクライマックスの銃撃戦に象徴される、死の舞踏を踊り続ける男たちの陶酔のドラマ。 復讐の意味が消えても、あくまでも仁義に殉じる絶滅危惧種の男たち…

ヒーローショー

★★★★☆ 一切感情移入できない薄っぺらな奴らがどんどんドツボにはまっていく鬱展開がラストまで続く。これまでの井筒作品に登場した不良少年たちと違い、暴力をふるう自分を肯定できないどころか、そもそも自分さえもコントロールできないほどに徹底して主体…

川の底からこんにちは

★★★★★ 「しょうがないじゃないですか」が口癖で、自分を卑下しまくっている主人公は、しかし本音では自分を諦め切れていない。だから腹の中に鬱屈がたまっているのだ。腸内洗浄の場面で始まるのは、そういう意味。 ダメだ、中の下だ、どうせ大したことない人…

グリーン・ゾーン

★★★☆☆ 常に後手後手で、まったくいいところのない我らがマット・デイモン。ボーンシリーズとは大違い。それもそのはず、実は真の主役はイラク人のフレディなのだ。彼はイラク人の象徴であり、デイモンが演じるミラーはまぬけなアメリカ人の象徴なのだから、…

ジョニー・マッド・ドッグ

★★★★☆ 子供たちを戦争の道具として利用するという日本人である僕らから見たら言語道断の所業でも、それがごく普通の行為である人たちが確かに存在するという絶望。倫理感は国境を越えられない。子供ゆえの残酷さ、をうまく利用する大人たちのさらなる残酷さ…

マイレージ、マイライフ

★★☆☆☆ 鼻の下の長いスジからフェロモンを放出する男ことジョージ・クルーニーが、文字通り地に足の着かない男を例によってイヤミな上手さで演じる本作、クルーニーの「軽さ」をしっかり見抜いた上でのキャスティングの勝利。最後の最後で地に着こうとしたク…

第9地区

★★★☆☆ 政治的寓話+SFエンターテイメントの奇蹟のコラボレーション。完全にやけくそになった男がただ一つ見出した「義」のためにすべてを捨てる美しさよ。すげえイヤな奴だったのに、尻上がりにどんどん良い男に見えてくる。フェイクドキュメントのスタイル…

ハート・ロッカー

★★★★☆ 現実の戦場に「オチ」はつかない。「人間爆弾」にされた少年は結局のところ誰だったのか、爆弾処理の現場に突然突っ込んできたタクシーの運転手は何者だったのか、タンクローリーを爆破した「犯人」は本当に存在したのか。それらのすべては闇の中であ…

フローズン・リバー

★★★★★ 今年の、僕のイチ押し作品。『グラン・トリノ』、『レスラー』に感動しつつも、どこかひっかかっていたのはなぜなのか、この映画ではっきりわかった。遺される者のことを考えずに自分の美学に殉じるなんて、やっぱり醜悪だ。本作の主人公が最後に下す…

かいじゅうたちのいるところ

★★★☆☆ 「童心」の奇蹟的映像化作品。汚いぬいぐるみのようなかいじゅうたちと折り重なって眠るとか、雪で作ったトンネルの中に入り込むとか、子供の胎内回帰願望的感覚をいまだにきちんと自分の中から取り出せるスパイク・ジョーンズはすげえ。

パラノーマル・アクティビティ

★☆☆☆☆ びっくりするほど怖くない。宣伝による勝利の典型例。鑑賞した夜、たまたま「ガキ使」で見た「世界のヘイポー ひとりぼっちのプレハブ生活」と驚かしの手口がほぼ同じで爆笑した。

オーシャンズ

★★☆☆☆ たまには心癒されるような映画を観たいと思い、鑑賞。最初の1時間は飽きなかったが、その後はたるかった。ネイチャードキュメンタリーはせいぜい1時間半でよし。 あと例によって、この手の映画に付き物の環境保護プロパガンダがうざい。人間の思考の…

今年2月から12月までに観た映画(星取表付き)

今年も今日で終わりということで、今年、『アバター』以降に観た映画についての簡単な感想に星取表を添えて、ざーっとまとめて更新します。

暑中お見舞い申し上げます

毎日蒸し暑いですね〜(大出血しているにもかかわらず陰部を激しく搔き毟りながら)。 さて、先日ふとしたことで、ガキの頃の夏休みに「ゴールデン洋画劇場」で見た、とある映画のことを思い出しまして、タイトルも、もはやあやふやだったんですが、あやふや…

拙者の愚息も思わずトロピックサンダーでござるの巻

「だからダイヤゾーンってどこなんだよ! ここか! ここか!」(股間にドライヤーをあてがいながら)…という訳で、最近ダイヤゾーンのことが気になってしょうがない当ブログ主ことネトゲ廃人ですが、この間、血眼になって綾瀬はるかの水着動画を探していた時…

アバター

魂はこもってないけどイイ商品 監督:ジェームズ・キャメロン 脚本:ジェームズ・キャメロン 音楽:ジェームズ・ホーナー 出演:サム・ワーシントン/ゾーイ・サルダナ/シガーニー・ウィーヴァー 他 ストーリー:任務中の負傷が元で車椅子での生活を余儀な…

ゼロ年代ベストテン

遅ればせながら、あけましておめでとうございます(成人用おむつを着用の上、脱糞しながら)。 例年だと、新年一発目では前年のベストテンを発表するのですが、いかんせん昨年観た映画はたったの25本。 これでベストテンを選ぼうっていうのは、あまりにもお…