2024年1月の鑑賞記録

劇場

『ファースト・カウ』ヒューマントラストシネマ渋谷 '24・1・2
『ショーイング・アップ』(A24の知られざる映画たち presented by U-NEXT)ヒューマントラストシネマ渋谷 '24・1・2
『PERFECT DAYS』TOHOシネマズ新宿 '24・1・3
『浮き雲』(愛すべきアキ・カウリスマキユーロスペース '24・1・4
『狂った触覚 デジタルリマスター版』(佐藤寿保監督特集上映〈第二弾〉【血だるまヒサヤス もしくは美の男Ⅱ】)K's cinema '24・1・5
『マッチ工場の少女』(愛すべきアキ・カウリスマキユーロスペース '24・1・7
『吸血鬼(1932)』(カール・テオドア・ドライヤー セレクション vol.2)シアター・イメージフォーラム '24・1・8
TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』シネクイント '24・1・17
『哀れなるものたち』TOHOシネマズ新宿 '24・1・31

配信

『Q2:6隠しリンク - Hidden link』フェイクドキュメンタリー「Q』(YouTube)'24・1・26

「トー横キッズ」と呼ばれる人々のことは、TOHOシネマズ新宿に行くためにシネシティ広場を横切った時に見かけたことがあるくらいで直接的には知らない。しかし彼・彼女らが睡眠薬や風邪薬をオーバードーズして、意識不明になったり前後不覚になったりしているというのはニュースなどで知っている。
なんでまた急に「トー横キッズ」について書き出したかといえば、『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』を観て、「この連中はトー横キッズみたいだなー」と思ったからだ。本作の登場人物たちは、霊に一時的に体を乗っ取らせる遊びに夢中になってしまう。歌舞伎町の路上でウロウロしているキッズたちと比べると、みんな良い家に住んでるし、恵まれた生活を送っているように見えるが、どうも両者には共通しているものがあると思うのである。
で、それは「自分の体のコントロールを手放すことへの執着」ということではないだろうか。自分の意思で体を動かすのをやめたい、つまり生きるのを一時的にやめたい、という気分がオーバードーズや、霊にあえて憑依させるという行為の背景にあって、その気分がどこから立ち上がっているのかといえば、それは結局のところ現実のツラさというやつからであろう。
決して過ごしやすいとは思えない路上で群れを作ってクスリを飲んでしまったりするのも、得体のしれない霊に自分の体をあけ渡す行為に病みつきになってしまうのも、これ全てツラい現実を忘れるため、という何のひねりもない話に落ち着いたが、本作の主人公がたどる運命は現実よりもはるかにツラい。「トー横キッズ」の皆さんには是非本作を観てもらって、わが身を大事にしてほしいものである(何のひねりもない締め方)。