恐怖

★★★☆☆
ホラー番長・高橋洋の集大成にしてネクストレベル。はっきり言ってすごいことをしてると思うのだが、観る人によってはむやみに難解な話でしかないかもしれない。またもや十八番の「呪われた映像」の話かよと思いきや、文字通り別次元の方向へ有無を言わさず進行する物語。客が着いてこれようがこれまいが全く気にしていない風なのがすてきすぎる。
これは僕の脳内アンテナが受信した本作からのメッセージなので、異論反論はあるとは思うが、でもかまわずに書くと、「この世」は「向こう側の住人」が見ている夢なのだ、というのが本作の結論。例の8ミリフィルムを観た時(そして「向こう側の住人」から「観られた」時)から、片平なぎさ一家はその事実に「無意識に」気づいてしまった。そのために破滅する運命を与えられたのだ。そしてラストシークエンスは「夢落ち」を示すものではない(夢落ちと仮定すると、その夢を見ていた主体に当たる人物があの中にはいない…というかこの作品内には存在しない!)。その夢を見ていたのは(そして今も見ているのは)「向こう側の住人」である、ということを示しているのだ。それにしてもヒロインは全くの大根だが、それを補って余りある片平なぎさの振り切れた怪演に震えろ!