2024年4月の鑑賞記録

『荒野の用心棒 4K復元版』(ドル三部作 4K)グランドシネマサンシャイン池袋 '24・4・6
続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 4K』(ドル三部作 4K)グランドシネマサンシャイン池袋 '24・4・7
『レイダース/失われたアーク≪聖櫃≫』(4K)(午前十時の映画祭14)グランドシネマサンシャイン池袋 '24・4・7
オッペンハイマー』(IMAXレーザーGT字幕)グランドシネマサンシャイン池袋 '24・4・10
『インフィニティ・プール』ヒューマントラストシネマ渋谷 '24・4・16
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(4K)(午前十時の映画祭14)グランドシネマサンシャイン池袋 '24・4・17
ゴジラ×コング 新たなる帝国』TOHOシネマズ新宿 '24・4・28
『天使の復讐(1981)』(「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト」出版記念上映)下高井戸シネマ '24・4・29

ゴジラという怪獣のことを考える時、走っている姿はどうにも想像できない。というかそんな挙動をとらせるのは冒涜だとさえ思う。ゴジラはただの怪獣ではなく、いわば神のようなものなので、走るなどというのは似つかわしくない。ひたすら重々しく歩みを進めるのがゴジラのスタンダード・スタイルであると思うのだ。
かつてニューヨークの街中をピョンピョンという軽々しい擬態語を付けたくなる感じで走り回った「ゴジラ」も存在したが、あれは今風に言えばマルチバースの「ゴジラ」なのであって、僕が思うところのゴジラでは決してない。まあ、あれも「ゴジラ」ではなく他の怪獣であったなら、そう悪い映画でもなかったとは思うが。
さて今回の『ゴジラ×コング 新たなる帝国』において、またもやゴジラを走らせる(それどころか縦横無尽に空中を舞わせたりもする)監督が現れたわけだが、彼は別に何も考えずにそんなことをしたのではなく、大胆なことにゴジラをはじめ登場する怪獣たちにある種の擬人化をほどこすことにより、彼らに走り、飛ぶ自由を与えているのである。
その「ある種の擬人化」とは、たとえるなら日本の漫画で描かれるヤンキーだというのが最も適切だと僕には思える。なんでよりによってそうしたのかはわからないが。そしてヤンキー漫画は星の数ほどあるが、僕は、これは『ビー・バップ・ハイスクール』だなあと思った。なぜかといって『ビー・バップ~』の主人公であるヒロシとトオルは決して劇中最強の存在ではなく、割とボコボコにされたりしており、その在り方が本作のゴジラとコングに重なる部分があると思うのである。
だって本作のゴジラもコングもこれまでの作品は何だったんだ?と疑問に思うほど「弱い」のだ。今回初登場の、チンピラムーブのクセが凄い敵怪獣にまあまあ押されるくらいには。つまり劇中でのパワーバランスが不確定な感じが『ビー・バップ~』っぽいなと。ヒロシがゴジラで、トオルがコングってところだろうか。神からヤンキーにレベル垂直降下というわけで、僕には楽しめなかったが、従来のゴジラ像から斜め上に一線を越えたことについては、その勇気は買いたい。