ヒーローショー

★★★★☆
一切感情移入できない薄っぺらな奴らがどんどんドツボにはまっていく鬱展開がラストまで続く。これまでの井筒作品に登場した不良少年たちと違い、暴力をふるう自分を肯定できないどころか、そもそも自分さえもコントロールできないほどに徹底して主体性がなく、お互いに頼りあい、責任をなすりつけあううちに取り返しのつかない地点まで行ってしまう。この世で一番怖いのは自分が何をしているのかわかっていない人間だということであり、そんな馬鹿たちが破滅していく様を冷めた目で見つめ続けるある意味恐怖映画。
ラストシーンの富士山がぼんやりしているのは、主人公たちの人生の先行きは決して明るくない、というか相変わらず視界不良であるという意味ではないか?
それにしても、井筒監督がここへ来てまさかのぶっちゃけ=「ワシの映画みたいなこと、マジにやったら人生終了やで〜」をかましたという意味でも問題作。