ハート・ロッカー

★★★★☆
現実の戦場に「オチ」はつかない。「人間爆弾」にされた少年は結局のところ誰だったのか、爆弾処理の現場に突然突っ込んできたタクシーの運転手は何者だったのか、タンクローリーを爆破した「犯人」は本当に存在したのか。それらのすべては闇の中であり、真相は不明のままで、オチのつかないことばかりだ。
そんな世界の中で唯一オチがきちんとつくもの、それが主人公にとっては「爆弾処理」だった。解体・オア・ダイ。白黒はっきりつくがゆえに彼にとっての生き甲斐となった。だから、その生き甲斐がなくなった「平和な祖国」に満足できず、再び戦場に帰っていくのは、あまりにも当然の結末である。