夫がツチノコに殺されました。(2017)

製作国:日本
監督:いまおかしんじ
脚本:守屋文雄
音楽:下社敦郎
出演:涼川絢音/安野由美/伊藤清美/川瀬陽太 他
★★★★☆


フリーダム&ジャスティ

最近、暇つぶしにツイッターなどを眺めていると、どうにも気になることがあるんですよ。ほら、ジャンプの漫画のカラーページがエロくてけしからんとか言い出した人たちがいるでしょう。あと、なんかやたらと、どこかの地方自治体が作った萌え絵のポスターやらキャラクターやらコンビニのエロ本とかをどうにかしろとか言ってた人たちもいるでしょう? 僕はそういう意見を言う自由はもちろんあると思うんです。だけど、もしエロい表現は不謹慎だから世の中から無くしてしまおうとまで言うのであれば、それは違うなと思う。批判はしていいけれど存在は認めるべきでしょう、と。だってそれを必要としている人もいるわけだから。かくいう僕だってその一人ですから、ああいう「正義の人たち」の鉾先がいつ映画やAVに向けられるんじゃないかと思うと、もう気が気じゃなくてオナニーの頻度が一日一回から三日に一回に減少したくらいです。
そんな中、去る7月1日から14日までテアトル新宿で行われた「OP PICTURES+フェス 2017」というピンク映画の特集上映で、いまおかしんじの新作を観てきました。この企画も、もしかしたら「正義の人たち」の抗議とかで中止になるんじゃないかなどと余計な心配をしていたんですが、杞憂だったようです。
それはさておき本作についてですが、まずタイトルからして普通じゃない。21世紀になってから十数年経っているというのに『夫がツチノコに殺されました。』ですよ(ちなみにR18+版タイトルは『感じるつちんこ、ヤリ放題』)。今時「ツチノコ」なんて、もう知らない人の方が多いくらいじゃないでしょうか。そのツチノコに「夫が殺されました」ってどういう状況なのか? 何が何だかわかりませんでしたが、とにかく異常な引力を感じて、ついフラフラと観に行ってしまったわけです。で、映画が始まっておそらく3分も経たないくらいで、タイトル通りの出来事が起こったので爆笑した。
そして、その後は、脚本家のクレジットはあるけど、本当はその場その場で適当に考えて撮ったんじゃないかなどと失礼極まりないことを考えてしまうほどに予測不可能な展開が続き、ゲラゲラ笑いながらもついていくのがやっとという感じになっていきます。
「ぶっ飛びキノコ」というなめ切った名前のマジックマッシュルーム的なアレを使用して巨大ツチノコと対決したり、これまでに犬とか牛とかに生まれ変わってきた挙句やっと人間になれたと自称する男と涼川絢音が何故か同棲したり、そこにツチノコに食われた涼川絢音の夫に100万円払う約束でションベン飲ませた女子高生が金を取り立てに来たり、「元は鯉だった」とほざくオヤジが意味なく登場したりとかね、もう自由すぎる。そしてクライマックスは深夜の道路上で涼川絢音と安野由美が特に必然性はないけど全裸で疾走ですよ。フリーダム!
上記の「正義の人たち」がどう思うか知りませんが、いまおかしんじの映画は相変わらず、しっかりとエロくて、軽々といい加減で、しかもやたらと面白い。僕からしたら、もう天才としか言いようがありません。要するにこっちの方がジャスティス!