放送禁止 劇場版〜密着68日 復讐執行人

TV版は割と好きです

依頼人に代わって復讐を代行する闇のサイト「復讐専門サイト・シエロ」の存在を知った取材スタッフは、「シエロ」の管理者である仮面の女「七川ノラム」との接触に成功する。そして取材の過程で出された彼女の提案により、実際に復讐が行われる一部始終を密着取材することになるのだったが……。


2003年4月から、1年に1本のペースでフジテレビで放送されている、知る人ぞ知る深夜番組の劇場版である。
知らない方のためにざっと説明すると、この「放送禁止」シリーズは、それぞれ何らかの問題が取材中に発生したためにお蔵入りになってしまった取材テープを当事者から了承を得て放送する……という設定で制作されたフェイク・ドキュメンタリーである。僕は1作目と2作目、そして今年放送された6作目を見ているが、その中では1作目が一番面白かった(まあ完全に『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のパクリではあったが)。
さて、今回の劇場版だが、あくまでも「ドキュメンタリー」であるというスタイルを堅持するところに、このシリーズの面白みがあるのに、かなり逸脱してしまっていて残念だった。
だいたい取材対象者の「七川ノラム」が明らかな犯罪行為を取材開始早々にカメラの前で行っているのに、その時点で取材中止にならないのはおかしい、というミもフタもない指摘もできるが、それより何より「ドキュメンタリー」なのに、山本剛史という俳優が、割と重要な役で出ちゃってるのが致命的である。それほど知名度はないかもしれないが、彼は山下敦弘監督作品の常連である。彼を知っている人が観れば(いくら「ドキュメンタリー」の設定が「お約束」だとわかっていたとしても)「なんだ、所詮やらせかよ〜」と一気に冷めるに違いない。このシリーズのキモは「虚構と現実のキワキワの線上に成立させる」というところにあるのだから、こういう「凡ミス」はやめてほしかった。
また、この作品は6作目の「デスリミット」とリンクしているのだが、確かに面白い試みとはいえ、あまりに作為的であり、この作品には向いていなかったのではないかと思われる。さらに言えば、「真相」が発覚する、そのきっかけというのが……なんて言うんですか、ホントにアホみたいなんで、これも何とかしてほしかった。
まあ、これに懲りて引き続き深夜でがんばってくれってことで。