カルト(2013)

製作国:日本
監督:白石晃士
脚本:白石晃士
音楽:配島邦明
出演:あびる優岩佐真悠子入来茉里 他
初公開年月:2013/07/20
★★★★☆


フェイク・ドキュメンタリー発クトゥルー神話行き

番組の内容も知らされず、とある事務所に集められた、あびる優岩佐真悠子入来茉里の3人は、家に憑いた霊に苦しめられる母と娘を取材することになる。
この導入部は、まんま『ノロイ』(05)であり、正直「またその手かよ」などと失礼ながら思いつつ観ていた。霊能者が除霊を試みるのも、やはり『ノロイ』を想起させる。
しかし、母子が住む家に出没する霊が、何らかの怨みを持って死んだ人間の霊などではなく、『オカルト』(08)において宇野祥平や、本人として出演している白石晃士を操った「邪悪な存在」のような、得体の知れないものであることが徐々に判明してくるにつれて、この作品はただならぬ雰囲気を放射し始める。
そして、一見ホスト風のチャラい優男ながら実は強力な霊能者であるネオ(仮名)(三浦涼介)の登場を契機として、「フェイク・ドキュメンタリー」という、この作品自体のフレームが食い破られていくのだ。単なる一軒家を舞台にした心霊実話風の物語が、「コズミック・ホラー」とでも呼ぶべきスケールにまで一気に膨張する! あんた、ラブクラフトか! どんなに低予算でも、優れたイマジネーションさえあれば、こんな奇跡さえ可能なのだということを白石晃士は証明したのである!
しかしながら、ラストは、「少年ジャンプ」誌上ではさんざん見たことのあるエンディングで堂々と締めるという意外すぎる結末。もちろん続編はあるんですよね? 微妙にブスなキチガイ女ばかりのカルト集団とチャラ男ばかりの霊能者軍団が血を血で洗う凄惨な闘争を繰り広げる、白石晃士版「幻魔大戦を期待してます!