007/慰めの報酬

意味不明の邦題も気に入らない

監督:マーク・フォースター
脚本:ニール・パーヴィスロバート・ウェイドポール・ハギス
音楽:デヴィッド・アーノルド
出演:ダニエル・クレイグオルガ・キュリレンコマチュー・アマルリック 他
ストーリー:『カジノ・ロワイヤル』のエンディングの1時間後から物語は始まる。何者かの陰謀によって愛する女性を亡くし、復讐を誓ったジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、彼女を操っていたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を捕らえて尋問。そして、彼の背後にある巨大な組織の幹部ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)の存在を知る。


予想外に面白かった前作を台無しにする出来の続編。まずアクション・シーンがなってない。前作の冒頭のパルクールを駆使したアクション・シークエンスのようなツカミもないし、これという大がかりな見せ場もない。マーク・フォースター監督は、これが初のアクション作品演出だそうだから、致し方ないのかもしれないが、そこを大目に見たら「007」ではなくなってしまう。
悪役がちゃちいのも欠点。マチュー・アマルリックは単にイヤミなだけの小物に過ぎない。もしかしたら次作で、いよいよ「組織」との決着をつけるという「三部作」構想なのかもしれないが、それはひっぱり過ぎだろうと思う。
最大の難点は、前作で提示した「クールかつ野蛮という二面性を持った007」という魅力的なキャラクターが、本作では「いつまでも死んだ女に拘っているウジウジした男」になってしまっていることだ。前作のラストで高らかに心身ともに非情なスパイ・007になりきったと宣言しているのだから、彼女の復讐は(少なくとも建前的には)二の次という姿勢で任務に取り組む姿を描かないと、前作の意味がなくなってしまう。次作ではこれらの問題点をクリアしてほしいと思う次第。