アトミック・ブロンド(2017)

製作国:アメリ
監督:デヴィッド・リーチ
原作:アントニー・ジョンストン(作)サム・ハート(画)
脚本:カート・ジョンスタッド
音楽:タイラー・ベイツ
音楽監修:ジョン・フーリアン
出演:シャーリーズ・セロンジェームズ・マカヴォイジョン・グッドマンソフィア・ブテラ 他
★★★☆☆


金玉潰し姐さん・ベルリン死闘篇

2017年11月14日、TOHOシネマズ新宿にて鑑賞。
暇つぶしにツイッターのTLを眺めていると、「よくこんなのを思いついたなあ」と良い意味でも悪い意味でも感心するアカウントのツイートが流れてくることが時折あります。特に僕に刺さるのは下ネタ系統のアカウントですね。ニュアンスでいうと「糞尿ぐびぐび一気飲み太郎」みたいなね。あるいは「大陰唇真っ黒くろすけ」みたいな、そういうタイプにどうも弱い。
で、もう消えてしまったんですが、少し前に「金玉潰し母さん」と名乗っている人がいて、これにはぎゃふんと言わされました。この手のアカウントでいまだにコレを超えるものを見たことがない。「金玉潰し」というハイパーバイオレンス行為と「母さん」という見慣れた呼称が合体したら、こんなにも禍々しくなるものなのだということを初めて知りました。
実際にこの人のツイートがTLに流れてきたことはないんですが、調べてみるとかなり過激なフェミニズム方面の人らしいことがわかり、「ああ、それで“金玉潰し”なのね」と腑に落ちました。男なんてどいつもこいつも下劣で野蛮で不潔な下等生物だから今すぐ全員死ぬべきだと日々思っていらっしゃるんでしょう。よくわかります。
それで、いよいよ本題なんですが、そういう「金玉潰し母さん」みたいな方々は是非本作を観るべきだと思うんです。主人公はシャーリーズ・セロンが演じる超絶的に強い女スパイ。当然、美人でセクシー。そんな完璧超人的な彼女が、次々に襲ってくる敵(全員男)を片っ端からボッコボコにするんですから、もう最高でしょう。こんなに主人公が男の股間を蹴り上げる映画を観たのは生まれて初めてかもしれない。「金玉潰し母さん」およびその賛同者ご一同様におかれましては大歓喜間違いなしの仕様になってます。もちろんそれ以外の方も十分楽しめると思いますが。
それにしてもシャーリーズ・セロンについては『怒りのデスロード』の時にかなり見直したんですが、今回さらに見直すことになりました。こんなにアクションがイケる人だったとは…。女性でも「007」や「ミッション・インポッシブル」を全然やれるという証明が彼女によって為されたといっても過言ではないと思います。ストーリーがわかりにくいのが難点ですが、別にわからなくてもセロン姐さんのアクションを見てるだけで完全に楽しめるので、本当に特に女性に観てほしい作品です。
なお、舞台をベルリンの壁崩壊前夜のベルリンに設定し、「壁」が崩れたら、たちまちただの紙切れになる「東側で活動中の西側スパイリスト」の争奪戦を描いたのは「東西冷戦」などというもののために人命が犠牲になった歴史のバカバカしさを暗に訴えたかったのでは…という穿った見方もできる良作でもあります。