フレフレ少女

新垣結衣の不幸

高校2年の百山桃子(新垣結衣)は恋愛小説ばかり読みふける文学少女。そんな桃子がひょんなことから野球部のエース・大嶋(本多拓人)に一目惚れしてしまう。彼に近づきたい一心で、桃子は応援団に入ることを決意するが、唯一の団員、龍太郎(永山絢斗)から団員が最低5人いないと廃部になると告げられ、団員探しに奔走することになる。なんとか集めてはみたものの、全員未経験で頼りにならない奴ばかり。応援団長にされてしまった桃子は、それでも野球部の試合の応援に向かうのだったが……。


まず、この作品の主役に、僕の心の婚約者(フィアンセ)こと新垣結衣さんがキャスティングされたことは本人にとっても僕にとっても大変に不幸なことだったと言わざるを得ない。
彼女の出演したドラマなどを見れば誰でもわかるように、新垣さんは非常に繊細な声質の持ち主(ざっくり言えば声が小さい人)である。そんな彼女をこともあろうに応援団長役にするって、どんだけ役者の適性を見る目がないんだという話である。
そもそも野球部のエースに惚れたから応援団に入るっていう発端からして意味不明だ。美少女の学ラン姿に萌えるという特殊な趣味の人しか喜ばない設定である。大多数の観客は違和感しか感じなかったに違いない。
それから、恐らく制作サイドとしては『ウォーターボーイズ』もしくは『スウィングガールズ』的な、ダメな奴らが努力の末に見事に栄光をつかむという、おなじみの物語にしたかったのだろうと思うが、残念なことに本作では、その王道のストーリーが全然上手く展開できていない。例えば団員それぞれの長所を活かした応援方法を編み出すとか、とんでもなくユニークな特訓をするとか、彼らの成長のプロセスを面白く描くことに頭を使った形跡は一切見られない。ずぶの素人ばかりの即席応援団は、たった一週間程度の(OBたちによる強制的な)合宿によって、ちょっとしごかれただけで、あっという間に立派な応援団になってしまうのである。まさに応援団をナメてるとしか思えない脚本だ。
クライマックスも「予定調和」という言葉をそのまま映像にしたような代物で、申し訳ないけれど何の感興もおぼえなかった。ラストシーンの、普通の女子高生に戻った新垣さんはパーフェクトにかわいかったが。
それにしても彼女にとって映画は、つくづく報われないフィールドのようだ。あの悪名高き『恋空』をはじめとして、今のところ、あんまりパッとしないフィルモグラフィーであると言わざるを得ない。
まあ、どんな映画に出ようと僕はいつまでも新垣さんを応援するけどね、だってフィアンセだから……(失禁しながらニヤニヤしつつ)。