ヘルハウス(1973)

製作国:イギリス
監督:ジョン・ハフ
原作:リチャード・マシスン
脚本:リチャード・マシスン
音楽:ブライアン・ホジソン
出演:ロディ・マクドウォール/パメラ・フランクリン/ゲイル・ハニカット 他
初公開年月:1974/09/07


前代未聞の悪霊退治

これは、ガキの頃にテレビで観て、何だかよくわからないけど面白かったなーという感触だけが、ずっと心の底に残り続けてきた映画です。で、先日思いがけずDVDを入手できたので、改めて見返してみたんですが、大人目線で観てもやっぱり面白かった。というワケで、このコーナーで取り上げることにしました。
ストーリーをざっくり説明すると、物理学者のバレット教授(クライヴ・レヴィル)が、ある富豪から「地獄の家(ヘルハウス)」という物騒なあだ名で呼ばれている有名な幽霊屋敷に一週間滞在して、霊魂が実在するかどうかを調べてくれと依頼され、彼と彼の妻・アン(ゲイル・ハニカット)、そして前回の調査に参加して唯一生き残った霊能者のフィッシャー(ロディ・マクドウォール)と、美少女霊能者のフローレンス(パメラ・フランクリン)という四人で今回の調査に当たることになるのですが、彼らが屋敷に入った途端、たちまち恐ろしい心霊現象が次々に襲ってくる。果たして四人は生きてこの屋敷から出ることができるのか?
……という内容なんですが、子供の頃には気づかなかった本作の面白ポイントとして、まず挙げたいのは予想外にエロいということ。
例えば、フローレンスが屋敷に取り憑いている霊を成仏させるために、その霊に犯される(!)シーンとかね。もうかなりエロいです。普段は清純な美少女というキャラなだけに、そのギャップがたまりません。
アン役のゲイル・ハニカットも、悪霊に操られてセックスしたくて辛抱たまらなくなり、ロディ・マクドウォールを全裸にネグリジェ一枚で誘惑するシーンがありまして、これまた実にスケベです。熟女好きの僕にはこたえられません。
二人の女優それぞれのキャラに合わせたエロ・シーンを設定するあたり、この監督、実によくわかってらっしゃると思いました。
次に挙げたいのは、主人公であるロディ・マクドウォールのやる気の無さ加減。クライマックスの悪霊との対決に至るまで、本当に何もしない。それどころか「僕は何もしないで一週間やり過ごして報酬だけもらう(今回の調査の報酬は10万ポンドという設定)。君たちもそうしろ」などと言い放つ始末。こんなにやる気のないホラー映画の主人公も珍しいと思う。まあ、その態度には理由があって、要するにこの屋敷に憑いている悪霊は、自分を追い払おうとする人物にのみ牙を剥くという性質があり、だから、こちらから何も仕掛けなければ何もされないで済むという理屈なんですね。なるほど、この手で前回も生き残ったのか、と腑に落ちるわけですが、それにしても、ちょっとひどいと思うくらいにやる気が無さすぎて笑えます。
しかし、そんなロディ・マクドウォールも四人のうち、二人までが無残な最期を遂げるやいなや、急に使命感に目覚めたのか、悪霊との対決に挑むことになります(この唐突な心換わりもワケがわからなくて笑える)。本作最大の面白ポイントがここです。誰も予想できないような、とんでもない悪霊退治作戦が実行されます。
ネタバレにならないようにぼんやりと説明すると……一般的に、他人の肉体的な欠陥をむやみに指摘してはいけない、ましてや、それをネタにバカにしたりするのはもってのほかだ、という常識つーかマナーがありますよね。
しかし、この対決シーンにおいてロディ・マクドウォールは、当の悪霊が生前気に病んでいたと思われる肉体的欠陥を大声で罵倒しまくるという失礼にも程がある荒業に打って出るのです。霊能力はもちろん十字架も聖水も何らかのスーパーテクノロジーも一切無し。単なる悪口で悪霊を打ち負かそうという、この暴挙。
いや、相手はとっくに死んでるんだから、そんなの無意味なのでは? と誰もが思うでしょうが、この攻撃が効果を発揮して本当に退治してしまうんだから、呆れるしかありません。
と、まあ、僕的に面白いと思うポイントのみ抽出して紹介したので、「え? コメディ?」と勘違いされても仕方がないんですが、真面目な話、古き良きオカルト映画の雰囲気漂う名作ですので、是非一度ご覧下さい(取って付けたようなフォロー)。