戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-01 恐怖降臨!コックリさん(2015)

製作国:日本
監督:白石晃士
脚本:白石晃士
撮影:白石晃士
出演:大迫茂生/久保山智夏/白石晃士/紅甘 他
初公開年月:2015/06/06
★★★★☆


コワすぎ!新起動(ジェニシス)

「オッス!」という工藤D(大迫茂生)のいかりや長介的なフランクすぎる挨拶から始まる本作。今回から「コワすぎ!」シリーズとは違う世界の話だから、ということで、冒頭で紹介される(この世界での)「コワすぎ!」シリーズのタイトルがいちいち本物とは微妙に違っているところにディテールにこだわりすぎだろ!とまず笑う。
さて、本作のネタは「コックリさん」である。深夜の廃校でコックリさんを行った二人の女子高生が怪奇現象に襲われる投稿映像パートでは、少女がカメラを持ったまま後方に高速でひきずられたり、宙に浮いたりと、相変わらずどうやって撮っているのかと首を捻る場面続出。たぶん種明かしされたら結構アナログなんだなあと思うんだろうが、少なくとも映像からはそういう感じは一切受けない。
それに続く、取材に向かう車中での、市川の兄についての工藤と市川(久保山智夏)の会話によれば、市川の兄は幼い頃に一時失踪し、戻ってきた時には予知能力を身につけていたという。「コワすぎ!」スピンオフでは「異界」に取り込まれた感をビンビンにかもし出していた市川兄だが、この世界ではどうなのか? そして、この会話は今後のシリーズの伏線なのか。
それはそれとして最初から飛ばす工藤は、冒頭のコックリさんをばっくれた第三の少女・新菜(紅甘)が彼氏とカラオケに行っていると聞くや否やカラオケ店に乱入し、チャラい彼氏を即ぶん殴って黙らせるわ、相手は少女だというのに、取材に協力しなかったら後頭部張り飛ばし続けると脅すだけでなく実行するわとやりたい放題。この新菜の反抗的だがクールでけだるい感じが実にいい(上映後の舞台挨拶で高1と聞いて驚愕。末恐ろしい女優だ)。
新菜を連れ出した工藤は、再度、廃校に侵入し、三人の少女によるコックリさんを敢行して、コックリさんをおびき出したうえで退治すると宣言。さん付けをせず「コックリ」呼ばわりし、めちゃめちゃ挑発し続ける工藤。「コックリの野郎が言うことを聞かないなら俺にも考えがある」と出してくるのが例によって金属バット。俺の気合が入ってるから、相手に実体がなくてもぶん殴れると、狂気の理論を語る。僕がスタッフならこの時点で逃げる。
そして、ついにコックリさん降臨。少女二人が取り憑かれ、ドリフのお化け屋敷コントの如く、逃げる工藤たちの行く手に突如として瞬間移動して現れる。この辺り、例によってワンカットに見せて実はそうではないのだろうが、どこで切ってるのかは全然わからない。
そんな中、たまたま取材前夜にニンニクを大量に食ったためにニンニク臭かった工藤が難を逃れたことから、コックリさんはニンニクに弱い!とまたもやその場で考えたことを自信たっぷりに断言する工藤。ニンニクカプセルを一同に無理やり頬張らせて反撃に出る。しかし、これが本当に効くから笑う。ニンニクくさい息をひたすら吐きかけるという前代未聞の除霊シーンが展開!
二人が正気になったところで、工藤も参加して最終コックリさん。コックリさんも怒り心頭なのか、「ころ(す)」と意思表示しようとしたところ「喧嘩のルールはなあ、自分で作るんだよ!」という名言と共に工藤が強引に十円玉を「す」から「ん」に動かして「ころん、だってよ〜」と嘲笑。さらに「俺に取り憑いてみろ!」と挑発した結果、ついに自らコックリさんに取り憑かれた工藤だが、不屈の闘志で自分で自分をバットで殴り、出てきたところを金属バットでしとめようとあがく。と、ここに至って少女たちの一人から衝撃的な告白がなされ、事態は一転。新たな除霊アイテムも入手して、なんだかイイ感じのラストを迎えるのだった。
というわけでリスタートはうまいこと乗り切ったという感じ。あとは、このテンションを保ちつつ、いかに「コワすぎ!」シリーズとは違うものを提示できるかが勝負だろう。