プロメテウス(2012)

製作国:アメリ
監督:リドリー・スコット
脚本:ジョン・スペイツ/デイモン・リンデロフ
音楽:マルク・ストライテンフェルト
出演:ノオミ・ラパスマイケル・ファスベンダーシャーリーズ・セロン 他
初公開年月:2012/08/24
★☆☆☆☆


走れ、プロメテウス(タイトルに意味なし)

本作鑑賞直後、僕は激怒した。必ず、かの邪智暴虐のリドリー・スコットを除かなければならぬと決意した。僕には映画製作の内幕など時折邪推はすれども本当のところはとんとわからぬ。僕は、詳細は省くが無職みたいな者である。主に熟女もののDVDを見て、陰茎を弄んで暮して来た。けれどもクソつまらない映画に対しては、人一倍に敏感であった。
この日僕は部屋を出発し、大江戸線に乗って、ユナイテッド・シネマとしまえんにやって来た。僕には父と母はいるが女房はいない。十六の、結婚式を間近に控えた内気な妹もいない。その代わりと言ってはなんだが、セリヌンティウス、じゃなかった「犬温」とか名乗っている腐れ縁の友人がいる。そいつがしきりに勧めるものだから、何だかよくはわからぬが「IMAX3D」とかいう形式で上映されているというこの映画を一緒に観に来たのである
上映開始後、しばらくの間は、僕は「IMAX3D」の威力に圧倒された。いったいどういう仕掛けなのか毛頭わからぬが、とにかく凄い。すごいなあすごく飛び出してくるなあと口をポカーンと開けたまま見入っていた。
ところが、そのうちのんきな僕も、だんだん不安になって来た。何故ならばいつまで経っても一向に面白くならぬのである。何故面白くならぬのかと言えば、それはマイケル・ファスベンダーの意味不明な行動など、物語上腑に落ちぬことがあまりにも目に付くからである。いや、それらについては後々説明されるに決まっている。そうでなければあまりにも不親切極まりないではないか。そう己に言い聞かせた。
しかし、とうとう何ひとつ納得のゆく説明はされぬままに映画は終わってしまったのだった。という訳で僕は激怒したのである。
「おどろいた。リドスコは乱心か」と僕は傍らの「犬温」に問いかけた。
はえ? いやーもう年ですからねえ。いちいちストーリーテリングとか面倒くさくなったんじゃないですかあ」と「犬温」は口の端から涎をだらだらと流しながら答えた。
それを聞いて、僕はさらに激怒した。「呆れたリドスコだ。生かして置けぬ」
「いやいやいや。まあ、いーじゃないですかあ。だいたいストーリーは『エイリアン』とほとんど同じじゃないですかあ。いちいち説明しなくてもだいたいわかるっしょ? だから面倒だから端折ったんじゃないですかあ?」と涎に加えて鼻水まで止めどなくたれ流しながら「犬温」はあくまでものんきに応える。
僕は口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。だから星ひとつである。