デイ・オブ・ザ・デッド

もしもスティーヴ・マイナーに井筒監督風に説教するならば

コロラド州のレッドヴィルという田舎町が、ある日、24時間の検疫隔離演習との名目で州兵部隊によって封鎖された。この町の出身者のサラ伍長(ミーナ・スヴァーリ)は、町を巡回中に実家に立ち寄った際、母親が高熱に苦しんでいるのを発見する。母親を運び込んだ病院内は、同じ症状の患者で溢れていた。正体不明のウィルスが猛烈な勢いで町中に広まっていたのだ。やがて感染者たちはゾンビ化して人々を襲い始める。州兵たちも次々と餌食となっていく最中、脱出を試みるサラたちだったが……。


お前か! この圧倒的にしょうもない映画撮った奴は……。名前が「マイナー」なだけにイケてないツラしとるのう。ま、とりあえず、そこに正座せい、正座。ジャパニーズ・トラディショナル・シッティング・スタイルじゃ。ぐずぐすしとったらしばき倒すぞ、ボケが!/お前、これ『死霊のえじき(原題:デイ・オブ・ザ・デッド)』のリメイクやそうやなあ……。あのなあ、ふざけるのも大概にせえよ! 謝れ! 床に額こすりつけてロメロ師匠に謝らんかい! こんな出来損ない作っておいて、よくもまあ『デイ・オブ・ザ・デッド』のタイトルを冠する度胸があったもんやな。ワシがロメロ師匠なら激怒もんやで。師匠かて、これ観たらめちゃめちゃ怒りはったに違いないで、ホンマに。/だいたいやな、普通にダッシュしてくるだけならまだしも、壁だの天井だのを這い回るような奴らを、ワシはゾンビとは呼びたくないんじゃ。なんでゾンビがスパイダーマンみたいなことができるんや。お前、ゾンビ絶対舐めてるやろ。ことゾンビに関してはワシは断然ロメロ師匠派なんや。ロメロ師匠流のゾンビを汚すようなマネをしくさる奴は誰であろうと許せへんのじゃ。/それにやな、ミーナちゃんが拳銃に弾丸を込めない理由を聞かれて「長い話なの」の一言でぶっち切って、結局説明しないってのはどういうことやねん。普通「なんか絶対ワケありや、こりゃ伏線かいな」と思うやないか。そういうデテールをすっとばして、まともな映画ができると思っとるんか? このどアホが! お前みたいなチンカスがロメロ師匠の作品をリメイクしようなんていうのはやなあ、一千万年早いんじゃ! オカンの股間から出直してこい!/他にもなあ、文句言い出したらキリがないから、いちいち言わんとくけどな。あとひとつだけ、あえて言うなら、なんでミーナちゃんを脱がさへんねん! お前も男やったら、男の客が求めとるもんくらいわかるやろ。なんで、それをやらへんのや! それができんから、いつまで経っても、お前の代表作は『ガバリン』なんや!/しかし、ほんまに腹立つなあ。なんでお前ごとき虫けら風情がロメロ師匠の作品のリメイク任されたんかなあ。お前をチョイスしたプロデューサー、ボコボコにしばきたいわ。/まあ、今日はこのくらいにしといたるけど、お前、今度ロメロ師匠の映画に手ぇ出したら、ケツの穴から手ぇ突っ込んで、奥歯ガタガタいわせたるからなあ! よく覚えとけや!(去り際に顔を目がけてタンを吐きかける僕。そして、あとには正座したまま号泣するスティーヴ・マイナーが……)