キック・アス(2010)

製作国:イギリス/アメリ
監督:マシュー・ヴォーン
原作:マーク・ミラー/ジョン・S・ロミタ・Jr
脚本:ジェーン・ゴールドマン/マシュー・ヴォーン
音楽:ジョン・マーフィ他
出演:アーロン・ジョンソンクロエ・グレース・モレッツニコラス・ケイジ 他
初公開年月:2010/12/18
★★★★☆

アメリカのとあるハイスクールの放課後にて…

「おい、ジョン、ちょっと聞いてくれよ」
「なんだよ、マーク。僕は明日の放課後、アメフト部のジョンソンに渡さなきゃならない20ドルのことで頭がいっぱいなんだ」
「そんなのいつもどおり、ママの財布からガメればいいだろ! そんなことより今度こそ絶対イケるコミックのストーリーを思いついたんだ」
「またかよ、お前、いつもそんなことばっかり考えてるな」
「まあ、聞けって。主人公はオレらみたいなコミックおたくのイケてない高校生なんだけど、ある日、本物のヒーローになろうと決意するんだよ。そんで名前は『キック・アス』」
「ハハハ、『最高』だって? 何そのネーミングセンス」
「いかにもオレらみたいなやつが付けそうな名前だろ? それで実際にコスチュームを着て、街に出て悪者を退治しようとするんだけど逆にボコられっぱなし」
「そりゃ、そうだろ。ただのコミックおたくなんだから」
「そしたらさ、ある日、偶然に本物のヒーローと知り合うんだよ。いや、こいつらもただの親子がヒーローのふりをしてるだけなんだけど。父親が『ビッグ・ダディ』で、まだ11歳の娘が『ヒット・ガール』って名前でさ」
「ギャハハハ! 『ビッグ・ダディ』って自分で名乗っちゃってるのがアホだな」
「こいつらが主人公以上にいかれてて、父親が娘にいろんな殺しのテクを教えてるんだよ。実際にヒーローとして悪人を倒すためにさ」
「ひでえ(笑)、立派な児童虐待じゃん」
「この親子は、街を仕切るマフィアに復讐するためにヒーローに扮してるんだけどさ。その後いろいろあって、キック・アスをハメるために、そのマフィアのボスの息子もヒーローになっちゃって…」
「ギャハハハハハハ! バカじゃねえの? いかれてる話だなあ」
「確かにいかれてるが、いいか、この作品のテーマは『誰でもその気になればヒーローになれる』ってことなんだ。それをオレら好みの超いかれた笑いでコーティングしてるのさ。どうだい、イケると思わないか?」
「お前って、マジ天才だな。今までは単なるアホだと思ってたけど許してくれ。じゃあ、さっそくマーベルかDCに売り込んで…」
(その時、アメフト部のジョンソンとその取り巻きが登場)
「おい、ジョン、明日は集金日だぜ。金の用意はできてるのか?」
(ジョンとマーク、頷き合うと立ち上がり、誇らしげに言い放つ)
「お前らに渡す金なんか無いし、今後も渡すことはないよ。ネヴァー
――その後、二人が体育館の裏に連行され、ボコられた上に有り金全部をまきあげられたのは言うまでもない…。
 …というような本作の誕生秘話の妄想も容易に展開できる、まさにアメコミおたく青少年のための映画。でも、別にアメコミおたくでなくても十分に楽しめます。