ノモンハン&天皇伝説

結論:渡辺文樹版『シベ超』二本立て

12月6日、大田区民プラザの会議室。何かと話題になっている『ノモンハン』と『天皇伝説』が上映されるというので、仮にも映画ブログの管理人たる者、ここは観とかなきゃダメでしょう!と思い、赴いた。
過去の例からして、当日に上映中止になることもあり得るといういわくつきの二本立てなので、実際に上映が始まるまでは、本当に観られるのかどうか、ちょっと不安だった。あと「ライトウイング」方面の方々の乱入とかもあったらどうしようと(半分期待しつつも)心配していた。
しかし、結局何事もなく、上映会は無事始まった。まず上映されたのが『ノモンハン』。要するにノモンハンで捕虜になった皇族の将校を巡って、ソ連との間で裏取引があったという話に、主人公(渡辺監督自ら主演)の義理の娘(これがすごいイイ女)とその皇族がデキちゃってましたという話が絡むのだが、基本的に会話主体の作品で正直退屈。ただカメラワークなどは、さすがに自主映画のレベルではなく、その点は感心した。しかし戦場の場面は(恐らく予算の関係で)非常にしょぼく、これならカットした方が良かったんじゃねーの? と思ったほどである。
次が問題の『天皇伝説』だが、この作品、僕の頭が弱いせいか、いまいち内容がよくわからなかった。以下、僕が把握した範囲でこの作品のあらすじを記してみる。
ノモンハン』の主人公の息子(?)にあたるジャーナリスト(?)(これまた渡辺監督主演)が妻殺しの冤罪をかけられて子供と一緒に逃亡する羽目になる。逃亡の途中、父の戦友(?)の家に潜伏した彼は、皇族の血統についての重大な秘密を記録したVHSテープを入手する。そのテープを狙う刺客も登場し、たびたび危険な目に遭うが父の戦友の娘(?)(これまたすごいイイ女)の協力で難を逃れ、ロープウェイの屋根の上で『北国の帝王』ばりのガチンコアクションをこなしたりしつつ、何とか刺客を倒し、警察からも逃げ切る……みたいな話である。
とにかくわかりにくいことこの上ない。説明すべきことを説明していないし、ところどころ画面が意味もなく変色して見にくいし(あれは絶対効果としてやっているのではなく、褪色してしまった古いフィルムを使っているのだと思う)、シーンとシーンのつなぎが不自然だし、そもそもなんで刺客がロープウェイで昇ったり下りたりするのかも、さっぱり理解不能。恐らく監督の頭の中では全部つじつまが合っているのだろうが、そのつじつまが全然見えてこない。
そして「ライトウイング」方面の方々を激怒させたという問題の天皇の血筋についての秘密というのも、延々と監督自身のナレーションで説明されるので、はっきり言って全く頭に入らなかった。なんか要するに天皇家には全然無関係の人の血が入ってるとかなんとか、そんな話だったが……。
二本とも観て感じたのは、この人は頭の中のビジョンに技術とお金がついてきてない人なのだということである。いわば『シベ超』的な「俺映画」の枠を超えられずにいるのだ。そして今のスタンスを守り続ける限り、その枠を超えられずに終わるんだろうなあ、と思ったのだった。