第3回イメージリングス背徳映画祭

遅まきながら、5月8日および9日に鑑賞した、渋谷「UPLINK X」での「第3回イメージリングス背徳映画祭」について、感想など書きたいと思う。

『欲情仮面ヒトヅマン』中野貴雄(Aプロ)

中野貴雄は、相変わらず特撮ヒーローものと女闘美が大好きなんだなあと再確認。ここまで来ると、もはや名人芸の域である。単なるパロディに終わらず、ちゃんといやらしいのが良い。

『迷宮の眠り姫』村田兼一(Aプロ)

和風エロス調の「不思議の国のアリス」といった風情の作品。出演している女優(?)たちがいずれも十代の少女風で、なんとも言えないヤバさ加減を堪能。少々退屈だったが。

『ザ・ミルキィ・オーディション』吉行由実(Aプロ)

今回の映画祭最大の問題作。吉行監督の、世良公則への妄執が爆発した、完全にアッチ側に行ってしまっている怪作である。かつてのアイドルグループ「セイント・フォー」を監督自らが一人四役で演じ(なぜか亀甲縛り姿でセイント・フォーの曲「不思議TOKYOシンデレラ」を熱唱!)、世良公則(役の男優)との激しいカラミもこなしている。はっきり言って、狂ってるとしか言いようがないのだが、世良公則への溢れすぎた想いはいやと言うほど伝わってくるのだった。

『京都借ります』しまだゆきやす(Aプロ)

黛敏郎の曲に合わせて、京都のお寺の境内で踊る全裸の女性、を延々と撮っている「だけ」と言ってよく、観ててつらかった。掲げたテーマは高尚なんだが、他の表現方法はなかったのだろうか。正直最も退屈だった作品。

『にょろにょろとうごくもの』神農了愛(Bプロ)

女性ならではの性的妄想を映像化したという感じの作品。でっかいチ●ポを出産するシーンは、失礼ながら笑いそうになったが、男性器への拘りが、ああいう表現になったのだろうと解釈。

『遊泳禁止区域』前田弘二(Bプロ)

徹夜明けらしい数人の男女が、帰宅しようと白昼の住宅街をだらだら歩いている。彼らの会話から、実は前夜、彼らは乱交らしき行為をしたことがわかってくる。若い人間のオスとメスの生態スケッチという感じの、精液の臭いが漂ってきそうな作品。佳作。

『金鮎の女』いまおかしんじ(Bプロ)

いまおか映画の常連男優・佐藤宏が、宇多田ヒカル似の吉祥寺のピンサロ嬢に片想いをしていると知った監督は、彼の恋をなんとか成就させようとする。監督に煽られて、やっと彼女をデートに誘うことに成功した佐藤だったが……。恐らく素材が佐藤宏じゃなければ、ここまで面白く成立しなかっただろう。監督の、佐藤への友愛の情が伝わってくる、逆に言えばそれだけが伝わる作品。

『フジカシングルデート』村上賢司(Bプロ)

女房と子供が実家に帰省している間に、久しぶりに8ミリカメラを手にした作者は、家を飛び出し、様々な女性との逢瀬を重ねていく。どこまでが事実で、どこからが虚構(映画)なのか? スリリングにもほどがあるフェイク・ドキュメンタリー。


ということで一番面白かったのは『ザ・ミルキィ・オーディション』。吉行由実は(基地外紙一重の)天才じゃないかと思う。