ザ・フィースト

悪ノリで見せ切る高速展開バカホラー

いいか、これはホラー映画なんだ。ホラー映画を観に来るガキどもが最も観たいものはなんだ? そりゃ人間の頭や腕や脚がぶっちぎれたり、怪物に喰われてぐしゃぐしゃになったりするシーンに決まってるだろ? だからそれをなるべく早く、たっぷり観せてやりゃあいいんだよ! 登場人物の説明? そんなもん必要最低限でいいんだよ。テロップですませとけ、わかりやすいから。登場人物の名前はどうするかって? そんなの適当でいいよ。どうせほとんど死ぬんだから。主人公っぽいのは「ヒーロー」、そいつのワイフは「ヒロイン」、バーテンダーは「バーテン」、まぬけそうな奴は「マヌケ」とかそんなのでいいだろ。怪物が出る理由? アホか! そんなの誰も知りたくないし必要ないんだよ。とにかく人間を喰いまくるやつが突然現れるんだよ。そういうもんだろ? ホラー映画って。それでもってフツーのホラー映画じゃ助かりそうな奴が速攻で死んで、助かりそうもない奴が助かったり、助かるかと思ったら喰われたりするんだよ。笑えるべ? よーしこれで決定! つべこべ言わずにもっとビール飲めバカ。はい打ち合わせ終了〜……というようなやりとりが制作過程であったに違いないと思われる本作。ホラーバカ(に決まってる)監督の暴走演出で最後まで押し切ります。荒っぽすぎるカット割りやよくわからない編集をしている部分があるなどの欠点を補ってあまりあるバカエネルギーに満ちあふれた佳作。ホラーファンには絶対推奨。