全然大丈夫

今一番(僕が)結婚したい女優は木村佳乃

今まで木村佳乃という女優のことを特に意識したことなどなかった。せいぜい銀行のCMで『トゥームレイダー』の微妙なパロディをやらされてる人、くらいの認識。しかし、この作品での彼女を観て、惚れた。ぼぼぼ僕と結婚してくださーい!/ざっと紹介すれば「世界一怖いオバケ屋敷」を作るのが夢という万年小学生男・荒川良々と、人に嫌われるのがイヤで、誰にでも「いい人」として接してしまう岡田義徳のボンクラコンビが、ありえないレベルの不器用女(エレベーターのボタンを押そうとして骨折する、など)であるところの木村佳乃と、ふと出会い、ちょっとした三角関係になり、結局二人ともふられる、というような話をオフビート気味に綴った作品である。/木村佳乃は終始「生きててすみません」といった表情をしている。この風情がたまらない。何を隠そう、僕は「薄幸な女」好きなのだ。河原に住んでいるホームレスの老婆を観察して、雨音を録音したカセットテープを聴きながら、その老婆の絵を描くという、よくわからない趣味もステキ。/監督の視線は全ての主要な登場人物に対して等しく温かいが、とりわけ田中直樹と出会ってからの木村佳乃へのそれは、より温かみを増す気がする、というのは気のせいか。/結論としては「ダメな人」全般への愛を押しつけがましくなく提示している佳作、と思う。ただ、主演・荒川良々ということになっているが、僕にとっては、これは木村佳乃の映画だ。/あと細かいことを言うと、村杉蝉之介の髪型は反則。それと荒川良々の父親・蟹江敬三が家出中に作った恋人役の鳥居みゆきが、やっぱり瞳孔開き気味だったのが、ちょっと怖かった。