Seventh Code (2013)

製作国:日本
監督:黒沢清
脚本:黒沢清
音楽:林祐介(劇伴音楽)
出演:前田敦子鈴木亮平山本浩司 他
初公開年月:2014/01/11
★★★☆☆


ドレミファ娘2014

「一人の少女が、男を追いかけて未知の世界を訪れ、そこで奇妙な体験をすることになる。」
これは『Seventh Code』のプロットではない。にっかつロマンポルノとして撮影されたもののオクラ入りになってしまい、その後、再編集を経て1985年に公開された黒沢清監督作品『ドレミファ娘の血は騒ぐ』のそれである。両作のプロットは、ほぼ同一なのだ。
『Seventh Code』と『ドレミファ娘〜』には、もうひとつ偶然とは思えない共通点がある。『Seventh Code』での前田敦子の役名は「秋子」だが、『ドレミファ娘〜』で主演した洞口依子の役名も「秋子」なのである。
以上のことから、『Seventh Code』は『ドレミファ娘〜』を下敷きにして構想された作品なのだ…と、やや強引だが、この際言ってしまおう。
では、何故『ドレミファ娘〜』が選ばれたのか?
『ドレミファ娘〜』の「秋子」を演じた洞口依子は、本作で初めて女優としてデビューしている。対して、前田敦子は既に何作かの映画やドラマに出演しており、それなりに才能を感じさせるものの女優としての確固たる地位を築いているとは言えない。
そこで黒沢清は考えた。演技経験ゼロだった洞口依子の、その素材としての素晴らしさを活かして主演作品として仕上げることに成功した『ドレミファ娘〜』を、言わば“フォーマット”として『Seventh Code』に流用しよう、と。
もちろん、それだけでは単なる自作の焼き直しで終わってしまうから、そこに新しい要素を物語のツイストとして加えよう。『ドレミファ娘〜』には無かった「アクション」という要素を…。
――というような訳で、『Seventh Code』は、あのような作品に仕上がったと思う次第である。僕はしっかり楽しんだ。これまで全く意識したことのなかった前田敦子も、演技はともかく「なかなかやるじゃん」と見直した。黒沢清の目論見は成功した、と僕は考える。

※注:以上の文章はすべて、僕の灰色の(やや小さめで大変に弱々しい)脳細胞が紡ぎ出した妄想であり、何ら確証となるものなどありません。