第3回ガンダーラ映画祭「ノー・インテリジェンス〜映画界のラスプーチンと呼ばれて」


去る4月27日、下北沢「LA CAMERA」にて開催中だった「第3回ガンダーラ映画祭」をC→B→Aの順で全編観てきた。以下簡単に所感を述べる。

『アイムボカン〜地雷撤去という超セレブな夢』Chin↑Pom(Cプロ)

「セレブ的行為としての地雷撤去」というブラックなテーゼにのっとって、本当にカンボジアまで行って地雷を爆破。さらに地雷と一緒に爆破したiPodや石膏像を美術作品としてオークションにかけ、その収益金をカンボジアのNGOに寄付する……という一連の流れ全体で「作品」になっている。面白すぎ。

『がんばれ陸上自衛隊イラクサマワ綿井健陽(Cプロ)

さんざん大騒ぎをして派遣された自衛隊が、実際には現場でいかに役立たずだったかという大笑いの現実を暴露するドキュメンタリー。こういう作品こそ「NHKスペシャル」あたりで放送すべき。

古澤健のMっぽいの好き。』古澤健(Bプロ)

講師という立場を利用して「映画美学校」のお気に入りの女の子にセクハラ的行為をし、その子にさんざん叱られる自分、を他の役者に演じさせて、さらにそれをニヤニヤしながら見ている監督としての自分も登場させるという入れ子構造の作品。なんつーか結局自分だけが嬉しいだけじゃね? と思った。

『フロム・パラダイス』真喜屋力(Bプロ)

自分の作品の公開日になっても何一つやっていなかった監督が、進退窮まって思いついたのが、自分の住む沖縄から東京に納品に行くまでの過程そのものを撮影し、それを作品とするという究極の反則技だった。全く悪びれていない監督の態度が、大人としてはともかく創作者としては尊敬に……やっぱり値しないと思います。

『人間爆発』花くまゆうさく(Bプロ)

「何か」をしたいと思いつつも何もできずに焦りまくる「本間」と「未来からの指示」を待ち続ける「蟹江」という二人の工員のドラマ。実写にもかかわらず花くま漫画そのもののテイストが横溢しており、素晴らしすぎ。もっと映像作品を作って欲しい。

セックスと嘘とビデオテープとウソ』松江哲明(Bプロ)

オカンに自分の仕事が説明できないとか、女友達がどうしたとか、元カノがどうとかよりも何よりも、大阪の顔出しNGの彼女を、どうにかして顔出しさせてほしかった。ちょっと情感に流れすぎな感じ。

『我ら天下を取る』山下敦弘向井康介(Aプロ)

山下作品ではおなじみの俳優で、山下監督の友人でもある山本剛史と山下監督は最近関係がうまくいかなくなっていた。そこで二人の関係を再構築するために、二人が高校時代に仲間達と共に撮った映画を、もう一度リメイクすることを監督は提案。二人は帰郷して当時の仲間を集め、件の映画『ロボコップ5』の撮影を開始する……。正直今回のラインアップの中で一番笑えた作品。山本最高!

『人に歴史あり〜十八歳の暗黒』井土紀州(Aプロ)

18歳の時に「運命に肩をつかまれて」、その後犯罪者となった二人の女、福田和子と前田優香についての実験的ドキュメンタリー。抗えない「運命」に捕らえられてしまった女というテーマは魅力的だが、かの有名な福田和子の電話の録音テープを利用して「インタビュー」に再構成するという試みについては企画倒れの感が否めない。

『こんにちはーChim↑Pom!!』Chin↑Pom(Aプロ)

バイクの後部座席で、Chim↑Pomメンバーの少女エリィがカラスの剥製を空に掲げると、その後を驚くほど無数のカラスが追いかけてくる。圧巻の映像だ。/渋谷センター街でドブネズミを捕まえ「リアル・ピ●チュー」を制作。/ピンク色のゲロを延々と吐き続けるエリィを撮影した『ERIGERO』……Cプロの『アイムボカン』にしても本作にしても、これらが「アート」なのかどうか僕にはわからないし正直どうでもいい。ただ馬鹿馬鹿しく、面白かった。面白いことは大事だ。これからも、この調子で、もっともっとくだらないことを真摯にやり続けてほしい。

『日本イスラーム化計画』しまだゆきやす(Aプロ)

悪いけどさっぱり面白くなかった。出てる女の子、可愛くないし。テーマもよくわからんし。