尾崎豊の『15の夜』をアップデートしてみた

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上記のまとめをたまたま目にして、「え、今はそんな感じなの?」と思った。「俺のカラオケの、数少ない持ち歌のひとつなのに?」と。
まあ、カラオケの持ち歌だろうとなかろうと「だって盗んだバイクで走りだしちゃダメでしょう?」と言われたら確かにぐうの音も出ないわけです。「バイク盗んだら窃盗だから! 窃盗って犯罪だから! 犯罪者の気持ちなんかわかるわけねえだろ! バカか!」とまで言われたとしても、腹は立つけど、その通りですよねと答えるしかないところがある。ところで、その点については別に今になって急に言われだした訳でもなくて、電気グルーヴが1992年に出した『人事をつくさず天命を待つ』という曲の中で既に言っているんですけどね。「バイクを盗んじゃいけません」って。しかし、時代がついに電気グルーヴに追いついた、ということでは絶対にないんだろうなあとは思う。
とにかく、もはや世間では『15の夜』、受け入れがたいという風潮になっているようなので、2020年代にピッタリフィットするように歌詞をアップデートしたらいいんじゃないの? おじさんがやったろうか、ヒマだから、というわけでやってみました。
とりあえず、問題の「盗んだバイクで走り出す」という一節は次のようにしたら良いのではないか。


自分のバイクで走り出す


あっさりと正解が出たという気が一瞬したが、こう修正したとしても根本的な解決にはならないことにすぐ気づいた。なぜならバイクの免許を取得できるのは16歳からなので、たとえ自分のバイクであっても「そもそもバイク乗っちゃダメだろ! いい加減にしろ!」という声が上がるに違いないからである。
じゃあ、バイクに乗らなければいいのでは?ということで次のように修正する。


盗んだチャリで走り出す


「だから盗むなって言ってるだろ! チャリでも盗んだら窃盗だから! 窃盗って犯罪だから! あなたは犯罪を推奨するんですか? 犯罪を推奨する奴も犯罪者! 通報、通報!」って金切り声で叫ぶ人が続出するだろう。確かに「盗んだチャリ」はマズかった。訂正してお詫びします。


自分のチャリで走り出す


もはやごく普通の中高生の日常風景である。これなら誰にも文句はつけられまい、と思いきや、さらに別の問題が浮上してしまうことは避けられない。この曲の歌詞の中で「盗んだバイクで走り出す」のは「暗い夜の帳りの中へ」なのだ。しかも「行き先も解らぬまま」にである。
だから「盗んだバイクで走り出す」を「自分のチャリで走り出す」としたところで「未成年者が夜中にチャリでどこに行くんだ! 行き先もわからないのに夜中に外を出歩くなんて非行の始まり! 非行が行き着く先は犯罪!」という批判が出ることを抑止できないので、思い切って次のようにしてみよう。


自分のチャリで走り出す 学校に遅刻しないように
明るい朝の光の中へ


校則通りの髪型・学生服姿の主人公が、溌剌と自転車をこいで登校していく姿が目に浮かぶ。100点満点の健全な情景である。これなら少なくともこの部分に関しては、誰からも苦情は出ないだろう。
しかし、この歌の他の部分では「覚えたての煙草をふかし」たり、「あの娘と俺は将来さえずっと夢に見てる」とか寝言をほざいていたりと、バイク窃盗に負けず劣らず2020年代的にヤバい部分があり、そちらも大々的に修正する必要がある。あるのだが、もう飽きたのでやりません。誰かに怒られそうだし。