叫(さけび)

この作品、日本一いや恐らく世界一「幽霊」を如何にして映画で表現するかについて考えている黒沢清監督がついに行き着いた幽霊表現の極北が観られます。それはつまり全然幽霊っぽくしないこと。この映画の幽霊役、葉月里緒奈はどこからどう見ても葉月里緒奈以外の何者でもないように見えます。白昼堂々、主人公の前に現れ、話し、歩き回り、ドアを開けて部屋から出ていきます。もう全然幽霊らしくない。もちろんこれにはトリックがあって、要するに主人公は生きている人間と幽霊の見分けがつかない状態なのです(これ以上はネタバレ)。
しかしこの後、黒沢監督はどうするつもりなのか。もう「幽霊」に関してはやりつくしてしまったように思えるのですが、それともまだまだ思いも寄らないアイデアを隠し持っているのでしょうか。次作に期待したいと思います。
(白)