2006年ベスト11〜20

昨年は佳作が多かったので、ベスト11位から20位も選んでみました。では発表します(社会の窓からちん○をぶらぶらさせたまま、しゃくれ顔で)。


第11位 007/カジノ・ロワイヤル
やっぱり、あの「タマを掻け」がハイライトでしょう。あのシーンでダニエル・クレイグの起用、正解と僕は思いました。あいつのガタイがあってこそ、あの拷問に耐えられるリアリティが出るというものです。


第12位 父親たちの星条旗
ここまで高揚感のない戦争映画ってこれまでなかったんじゃないだろうか。硫黄島でもアメリカ本土でも同じ冷えびえとした空気が流れ、その空気の中で空々しい英雄物語がでっちあげられていく。その虚しさ、無惨さをこれでもかとイーストウッドは暴き立てている。


第13位 おじさん天国
イカを釣ることしか楽しみのない青年。恋人がいながらも、その青年ともHしてしまう女の子。眠ると怖い夢を見るのでオロナミンCを飲みながらずーっと起きている青年のおじさん。みんな、あまりにも軽い人生をだらっと生きている人たちだ。そいつらをへらへら笑いながら観ていたら、その軽さは僕の人生の軽さに通じている気がして、ふと笑いがひきつった。


第14位 ブロークバック・マウンテン
とにかく全編にわたって渺々と風が吹いているのである。あんなに四六時中のべつまくなしに風が吹いてたら、たとえ相手が同性でも、思わずぬくもりを求めてしまうのかもしれない。


第15位 隠された記憶
あまりにも当たり前の話だが、映画の中のカットは、それが「神の視点」なのか、「特定の人物の視点」なのか、説明されない限りわからない。この特性を最大限に利用したサスペンスが本作である。ラストカットがいったいどちらなのか。もしかしたら、ついに作品内で正体が明らかにならない「悪意ある人物の視点」ではないのかと感じた途端に、これまで経験したことのない不快な恐怖がこみ上げてくる。


第16位 ヒストリー・オブ・バイオレンス
イヤだイヤだと言いながら、結局は暴力で全てを解決してしまう主人公は、やっぱ例の超大国のメタファーなのかなあ。


第17位 SPL/狼よ静かに死ね
主要人物の三人の男は全員何かに取り憑かれている。その三人がそれぞれの暴走の果てに何処へ到達するか。これが泣かせるのよ〜。


第18位 クラッシュ
誰かにとっての極悪人は、誰かにとっての救世主になり得るし、誰かにとっての悲劇は、誰かにとっての奇蹟にもなる。目に見えない糸で複雑に結び合わされた僕らの世界の一断面を見事に切り取った作品。


第19位 LOFT
正直言って、この映画を何といって表現すればいいのか、よくわからないのだ。ジャンルをあえて決めればホラーに属するように思えるが、完全にホラーだとは言い切れない部分が残る。では何か。サスペンスか。ラブストーリーか。それらの要素を全て混ぜ合わせて黒沢流に料理して創出されたものが本作か。どれと言い当てることもできない謎の映画。唯一確かなのは、これは黒沢清でなければ絶対に作れない映画だということである。


第20位 水霊(ミズチ)
よくあるいわゆる「Jホラー」かと思ってたら、最後に思いっきりうっちゃりかまされた。今の今まで事件を解明する側の人間かと思ってたら、最初から既に「被害者」の側だったという新手。観てない人にはなんのことやらわからんだろうが、その他ショックシーンにも新味があり(特に山崎真実を襲う幻覚の描写が良い)、有望な新人登場という印象。


以上!(白)