誘拐犯(2000)

製作国:アメリ
監督:クリストファー・マッカリー
脚本:クリストファー・マッカリー
音楽:ジョー・クレイマー
出演:ライアン・フィリップベニチオ・デル・トロジュリエット・ルイス 他
初公開年月:2001/06/09


この「ノリ」がわかる人だけ楽しめます

完全に僕だけの「名画」を紹介する「極私的名画劇場」。第2回で取り上げるのは『誘拐犯』です。
さて、誘拐に成功したのはいいものの、人質の身内がヤバい筋のヒトで、逆に窮地に追い込まれる羽目になる…という、プロット自体は割とよくある感じなんですが、この作品が一筋縄でいかないのは、誘拐犯のライアン・フィリップベニチオ・デル・トロが何を考えているのか、いまいちわかりにくい上に、いちいち説明もされない点です。恐らく、ここに違和感を持ってしまうと、もうこの作品を楽しめなくなります。
だいたい、最初に誘拐を試みた時点では、一度はあっさり諦めちゃいますからね。ただ、標的であるジュリエット・ルイスが予想外の行動をとったために、たまたま成功するに過ぎないわけで。
その後もいろいろ逡巡して、結局一度は解放するんですが、そのくせ終盤、身代金奪取に命を賭けたりもするし…つまり、どこまで行っても真面目にやる気がないし、行動が首尾一貫していない(ように見える)ので、観客としてついていけなくなる気持ちもわかる。
僕が思うに、彼らは特に何も考えていないんです。「人生を投げた人間特有の投げやりさ」のみを武器にして状況に対処しているに過ぎない。わかりやすく言えば、その場の「ノリ」で行動しているのだと考えると納得いきます。
だから、「何これつまらん金返せ」と息巻いちゃう人もいるだろうなあと思いますし、決して万人にオススメはしませんが、僕は本当に大好きなんですよ、この映画。
まあ、それは何故かと言えば、たぶん僕が、彼らのような「投げやりさ」を、いまだにどこかに持っているからじゃないですかね…。ということで終わります(投げやり気味に)。


追記:ところでクライマックスの銃撃戦ばかり「すげえすげえ」と一部で評価されている本作ですが、僕が一番好きなのはこのシークエンスです。これを観て、興味を持たれた方は是非観てみてください。