レディ・ガイ(2016)

製作国:アメリ
監督:ウォルター・ヒル
原案:デニス・ハミル/ウォルター・ヒル
脚本:ウォルター・ヒル/デニス・ハミル
音楽:ラネイ・ショックニー
テーマ曲:ジョルジオ・モロダー
出演:ミシェル・ロドリゲストニー・シャルーブ/ケイトリン・ジェラード/シガーニー・ウィーヴァー 他
★★★☆☆


文字通りの「女体化」アクション爆誕

男の殺し屋が、ある日目が覚めると女になっていた――という、一体どうやって思いついたのかさっぱりわからない珍妙な話が、主人公を演じたミシェル・ロドリゲスの、身体を張った演技のおかげで何とか観られる形になっているという感じの作品。
冒頭、いきなり精神病院に入院しているシガーニー・ウィーヴァーへの面談から始まり、彼女の証言から、そもそもの事件の発端にさかのぼるという構成にはなかなか意表を突かれましたが、その後、ミシェル・ロドリゲスの視点からの回想シーンも挟まって、語り手が二人になってしまい、単純な話なのになんだか不必要にややこしくしてるなーという印象を持ちました。
ミシェル・ロドリゲスが、性転換させられる前の段階から男性役を演じるという、彼女にとってはチャレンジングな企画ではあり、相応の成果を上げているとも思う。また、女にされてしまった後、自分の身体を見て愕然とするシーンではオッパイもヘアも出していて、まあ、こんなに必然性のあるヌードシーンもなかなかないとは言え、それでもきっちりやったのは実にすばらしいと思いました。対してシガーニー・ウィーヴァーは、この作品に出たところで別に得しないどころか、むしろ損じゃないかとすら思うんですが、考えようによっては『羊たちの沈黙』のレクター博士よりも狂気度が高い整形外科医を怪演しており、これまた女優魂を感じた次第。
しかし、この題材なら、R18指定を厭わなければ、もっとエグくて、なおかつアクションとして成立している作品にもできたと思うんですが、それができなかったところにウォルター・ヒルという監督の限界が示されているように思いました。