ザ・ヴォイド(2016)

製作国:カナダ
監督:ジェレミー・ギレスピー/スティーヴン・コスタンスキ
脚本:ジェレミー・ギレスピー/スティーヴン・コスタンスキ
音楽:ブリッツ//ベルリン
出演:アーロン・プール/ダニエル・ファザーズ/エレン・ウォン/キャスリーン・マンロー 他
★☆☆☆☆


要塞病院・異次元からの物体X

この映画、無理やり邦題をでっちあげるなら、上記のタイトルみたいになると思う。ご覧になった方にならわかってもらえると思うんですが、少なくとも大筋ではこんな感じなんですよ。
まあ、やりたかったこともわかるんです。カルト教団版の『要塞警察』をやりたかった。それと並行して『遊星からの物体X』もやりたかった。『マニトウ』や『エクストロ』みたいな妊婦ホラーもやりたかったし、グチャグチャドロドロのクリーチャーも出したかったし、最終的には『マウス・オブ・マッドネス』のような、クトゥルー神話みたいな宇宙的恐怖譚にしたかった。確かに一応全部やっています。
映画の終盤、巨大なピラミッドのような影がいずことも知れない異世界の空に出現するシーンには何とも言えない神秘的なムードが漂うし、三角形のマークを顔の部分にプリントしたオシャレなKKKみたいなカルト教団もなかなかカッコイイ。しかし良いところはそれくらいなんですね。
全体としては何だかしょんぼりした出来だったと言うしかない。完全に志に技術と予算がついていっていないパターン。脚本の段階でネタの交通整理をするべきだったのにしなかったのが痛い。こういう失敗作を観ると、いかにジョン・カーペンターが偉い人かということがよくわかります。