ブルー・リベンジ(2013)

製作国:アメリカ/フランス
監督:ジェレミー・ソルニエ
脚本:ジェレミー・ソルニエ
撮影:ジェレミー・ソルニエ
出演:メイコン・ブレア/デヴィン・ラトレイ/エイミー・ハーグリーヴス/ケヴィン・コラック 他
初公開年月:2015/1
★★★☆☆


あなたにもできる復讐

オープニング。風呂に入っていた男が、誰かが家に帰ってきた気配を察するや否や、突然窓を破って裸で逃げ出す。その後の描写で、この男・ドワイト(メイコン・ブレア)はどうやら他人の家の風呂に勝手に入っていたホームレスなのだということがわかってくる。
やがて、両親を殺した犯人が司法取引によって出所したことを知ったドワイトは、復讐を遂げるために行動を開始する。冒頭から復讐の場面に至るまでナレーションや台詞による説明は一切無く、観客はドワイトの行動を追い続けるカメラを通して事態を把握するしかない。これは彼の緊張感と切迫感を観客に感じさせるためには非常に適切な演出だと思った。
また、本作のシナリオは、ジェイソン・ステイサムでもなければリーアム・ニーソンでもない、ごく普通の、いや、両親の死のショックでホームレスになってしまったくらいだから、むしろ姉(エイミー・ハーグリーヴス)が劇中で指摘するとおり他人より「弱い」男が復讐をしようと企て、実際に実行するなら、どう行動するか。その結果生じる事態にどう対処するかについて(まるで「初心者のためのハウ・トゥ・リベンジ」といった感じで)恐ろしく考え抜かれており、異様なリアリティを獲得している。
そのリアリティは、復讐する側からされる側に回る羽目になり、追い詰められたドワイトが選択した結末まで当然貫かれている。近年、暴力による復讐の無益さをこれほど現実的に表現した作品を僕は知らない。