七つまでは神のうち(2011)

製作国:日本
監督:三宅隆太
脚本:三宅隆太
音楽:遠藤浩二
出演:日南響子飛鳥凛藤本七海霧島れいか 他
初公開年月:2011/08/20
★★★☆☆

神様なんて信じられない世界で

およそ人の親という立場の人々にとっての最悪の悪夢とは、愛する我が子が、ある日突然目の前から消えてしまうという事態だろう。
それも事故や事件に巻き込まれて命を落としたのなら、やりきれない感情をぶつける対象を探すこともできるが、何が原因が全くわからず、まるで「神かくし」のように消えてしまったとしたら……。その苦しみは想像を絶するものがある。
この作品では、そのようにして突然、愛娘を失った一組の夫婦と、三人の少女たちのそれぞれのドラマが描かれる。はじめは関連性が全く不明のまま、バラバラに語られる物語は、やがてひとつに収束し、最終的には予想外の恐るべき着地点へと向かっていく。
僕が、この作品で最も心を揺さぶられたシーンは、娘・さくらを失って、哀しみの極致に突き落とされた母親(霧島れいか)が、いつも娘の無事を祈っていた神棚を、タンスの上から払い落とすシーンである。彼女はその時、神の不在を確信したのだ。
神に頼れない以上、本来神が下すべき罰を自ら下さねばならない。彼女の「動機」はここから発生している。
そして、ラストで絶望的な運命に直面する少女もまた「神様なんて、いない……」と痛感したに違いない。
タイトルに反して「神様なんていないんじゃないか?」と不穏な疑問を突きつけてくる異色のホラーとして、この作品は僕の心に刺さった。
何らかの宗教を信じている人に、是非感想を聞いてみたいです。