奇跡(2011)

製作国:日本
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
音楽:くるり
出演:前田航基前田旺志郎オダギリジョー/大塚寧々/原田芳雄 他
初公開年月:2011/6/11
★★★☆☆

このガキどもの存在こそが「奇跡」

先にちょっと引っかかったところを書くと…、「九州新幹線の一番列車がすれ違う瞬間を目撃すれば願いが叶う」って、そんなJRの仕掛けくさい都市伝説ってあるかなぁ、と思ってしまった。まあ、それには目をつむるにしても、今時の小学生がそんな噂を信じて旅に出るだろうか、もっとクールなんじゃないのかな、とも思ってしまった。
ところが、こんな嘘くさい話がちゃんと成立しているのである。それは主人公の「まえだまえだ」をはじめとする子供たちの「大人成分」と「子供成分」の絶妙に配合された演技による。子供たちからこんな演技を引き出すことができるのは、ひとえに是枝監督の非常に優れた才能によるものだろう。
僕は、不覚にも最後の方は、子供たちが新幹線を見ることができるように祈るような気分になっていた。そして、やっと新幹線を見ることができた子供たちの目を見て、「こんな目をして何かを見ることは自分にはもう二度とないんだろうな…」と汚れた大人の感慨を抱いたのだった。