モンスターVSエイリアン

コール・ミー・ジャイノミカ!

監督:ロブ・レターマン/コンラッド・ヴァーノン
脚本:ロブ・レターマン/マイア・フォーブス/ウォーリー・ウォロダースキー/ジョナサン・エイベル/グレン・バーガー
音楽:ヘンリー・ジャックマン
声の出演:リース・ウィザースプーンセス・ローゲンキーファー・サザーランド 他
ストーリー:恋人と念願の結婚式を迎えようとしていたスーザン(声:リース・ウィザースプーン)は、式の直前に突然落下してきた隕石の直撃を受け、身体が約15mに巨大化。そこへ軍隊が駆けつけ、彼女は捕獲されてしまう。やがて、謎の建物の中で目覚めたスーザンは、「ジャイノミカ」と名付けられ、モンスターの収容施設に監禁されたことを知る。同じ頃、アメリカ政府は地球侵略を目論むエイリアン・ロボットへの対応に苦慮していた……。


まず真っ先に気づくのは、本作には様々なSF・モンスター映画へのオマージュが込められていること。メインのキャラクター達はそれぞれ、『妖怪巨大女(58)』、『蠅男の恐怖(58)』、『大アマゾンの半魚人(54)』、『マックィーンの絶対の危機(58)』、『モスラ(61)』、『惑星アドベンチャー/スペース・モンスター襲来!(53)』などの映画からインスパイアされたものと見受けられる。また『博士の異常な愛情(64)』、『未知との遭遇(77)』から拝借したと思われるシーンもあり、この手の映画に目がない人にとっては元ネタ探しだけで十分楽しめる。
しかし、本作は単なる特撮オタク向けの作品ではない。一人の女性(スーザン)の自立への過程を描いた映画でもあるのである。
もともと恋人と結婚し、主婦になることを夢見ていた、ごく平凡な女性だったスーザンは、突然の運命のいたずらによって、よりによって「モンスター」としての人生を歩むことを余儀なくされる。以来、彼女は人間に戻り、恋人と結婚することをひたすら切望し続けるが、同時に「モンスター」である自分は、男に頼らず、自分の力だけでエイリアンとさえ戦うことができる存在になったことも自覚していく。
そして映画の終盤で、全く思いがけず元の人間に戻ることができたにもかかわらず、仲間のモンスター達を救うために、彼女は再び「モンスター」と化す道を選択する。それは同時に、自立した女性としての自分を選択することである。その瞬間を描いたシーンは非常に感動的だ。
だから、この映画は、実は女性にこそ観てほしい作品なのである。特に結婚に悩んでいる方、自分が「スーザン」を選ぶのか「ジャイノミカ」を選ぶのか、本作を観てよく検討しましょう。