エグザイル/絆

男だったら黙って観るべし

中国返還間近のマカオ。赤ん坊を抱えた妻が、夫であるウー(ニック・チョン)の帰りを待つ家を四人の男が訪れる。先に来たタイ(フランシス・ン)とキャット(ロイ・チョン)はウーを守るために、後から来たブレイズ(アンソニー・ウォン)とファット(ラム・シュ)はウーを殺すためにやって来たのだった。ウーは、香港マフィアのボス、フェイ(サイモン・ヤム)の命を狙ったために逃亡した男なのだ。やがてウーが帰宅し、五人の男たちに緊張が走る……。


寡黙な映画だ。余計な台詞は一切ない。ナレーションもない。ストーリーは限りなくシンプルだ。だが映画が終わった時、何かとてつもなく綺麗なものを観たと誰もが感じるだろう。ていうか、感じろ。/五人の男たちは話し合うかわりに銃を互いに向け、撃ち合う。しかし、次のシーンでは食事を共にしている。敵・味方に立場は分かれてしまったが、心は通じ合っている。それをジョニー・トーは、たった一枚の古びた写真を挿入するだけで観客に理解させてしまう。/闇医者の家での銃撃戦は、揺れるカーテンがまるでバレエのような優雅さに満ちている。このシークエンスに代表されるように、この作品では美とアクションが奇跡的に融合している。/クライマックス、空中に放り上げられたビールの空き缶が床に落ちるまでに全ては終わる。満足げに笑みを浮かべつつ、ひとり一人、眼を閉じていく男たち。ここで涙が込み上げない人はなんかダメな人(断定)。/これ以上、つべこべ言わない。股間にちん●をぶら下げているなら絶対に観るべき作品。ぶら下げてない人も観た方がいい作品。つまり全人類に推奨(大袈裟)。