アイアンマン

パワード社長、ご乱心の巻

巨大軍事企業スターク・インダストリーズの社長であり、発明家でもあるトニー・スターク(ロバート・ダウニーJR.)。彼はある日、自社製の新型兵器のデモンストレーションに参加するためにアフガニスタンへ行くが、テロリスト集団の襲撃に遭い、胸に深い傷を負ったまま囚われの身となって、兵器開発を強要される。しかし、彼は一味の目を盗んでパワードスーツを制作。それを使って脱出し、生還を果たす。そして、この一件で自社の兵器がテロに利用されているのを目の当たりにして、ショックを受けたトニーは武器製造を中止する一方、テロ撲滅のために、秘かにパワードスーツの改良に着手。試行錯誤の末、驚異的なパワードスーツ「アイアンマン」を完成させるのだが……。


一言で言うと非常に「能天気な映画」である。まあ、そもそも原作はアメコミなんだから、こんなノリがちょうどいいのかもしれないが、どうにも僕は乗れなかった。
だいたい、これまでなーんにも考えてこなかった金持ちのボンボン社長が、急に「世界平和への貢献」なんてことを思いついてしまったばっかりに暴走を始めれば、周囲の連中は大迷惑するに決まっている。腹心のジェフ・ブリッジスが殺したくなるのもよくわかる。バカ社長のサポートほど、はらわたが煮えくりかえる仕事はないだろう。
それに軍需産業からの撤退はいいことかもしれないが、自社の工場でこれまで働いてきた労働者諸君のことを、主人公はどう考えているのか。人殺しの道具とはいえ、工場で働く人々にとっては飯のタネである。いきなり撤退ということになれば、当然工場は閉鎖され、クビにされて路頭に迷う人々だって大量に出るに違いない。そういう現実、どう考えてるワケ? え? 大金持ちで天才の社長さんよ〜。パワードスーツ作る前に退職金よこせ! 再雇用先を確保しろ! メシ食わせろ! 自分は秘書(グウィネス・パルトロウがえらいかわいい)といちゃつきやがって、この野郎〜殺すぞ!
……いかん、会社がつぶれた時の記憶がフラッシュバックしてしまった。これも主人公が「社長」のせいだ。とにかく大富豪で社長でヒーローなのはバットマンだけで十分!