靖国 YASUKUNI

現代ニッポンの「秘境(8月15日限定)」ドキュメンタリー

よくテレビで、アフリカだかニューギニアだかの部族(大抵半裸もしくは全裸)の村に行って、珍しい風習やらを撮影して、「こ〜んなことを21世紀の今でもやってるんですねぇ」的なナレーションを付けたドキュメンタリー(っていうのかな、あの手も)を見かけるが、その番組を当の撮影された人たちが翻訳付きで見たら、一体どう感じるのだろうか。この作品を観て、そんなことを考えた。/日本人の僕から見ても、この作品の被写体になっている同胞たち(特に「右」の人たち)はヤバい。軍服コスプレするのもラッパ吹くのも他人に迷惑かけなきゃ別にいいけれど、この人たちは、客観的に自分たちがどう見られているか、という意識が薄すぎる。過剰な自意識を無防備に丸出しにしていらっしゃる。そんな彼らがもしも、この作品を観たら、何を感じるのだろうか。僕はそれを知りたい。/刀匠さんの話は、ぶっちゃけ要らなかった気がした。それより「靖国」という終戦記念日限定の異空間に引き寄せられてくる「右」の人、「左」の人、アメリカ人やら中国人やらが繰り広げるカオスな状況を撮り続けるだけでも、さらに相当面白いものになったと思う。ここは極端な人を引き寄せて意見を表明せずにはいられなくなる変な磁場が(8月15日に限って)発生するようだから。/ただ、合祀取り下げを求めてきた台湾の国会議員の女性と、浄土真宗の僧侶の方のシークエンスには、深く考えさせられるものがあった。/とりあえず今年の8月15日は、僕も靖国神社に行ってみようと思う。ナマで、あの混沌を目撃したいと思ったからである。/あと、一体どこが「反日」なのか、サッパリわからなかったです。