相棒-劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン

「連ドラの『THE MOVIE』『劇場版』にアタリなし」はどうやら鉄板

始まりは不可解な連続殺人事件だった。警視庁「特命係」の杉下右京亀山薫は、現場に残された謎の記号がチェスの手を示していることに気付き、右京は犯人とネット上でチェスの対局をすることで相手の意図を探ろうとする。やがて事件は「東京ビッグシティマラソン」に参加する3万人のランナーと15万人の観衆を人質にするという大規模なテロ計画の様相を呈し始めるのだが……というストーリー。
僕はTVシリーズの『相棒』は割と好きで、よく見ているのだが、正直、今回の劇場版は、ちょっといらない風呂敷を広げすぎちゃったかな〜という印象(この後から少々ネタバレあります)。
まずチェスの部分がいらない。そもそも犯人がこんなヒントを警察に与える必然性がないのだ。
それから対局の結果、犯人が「東京ビッグシティマラソン」を狙っているということがわかり、右京と薫は、犯行を阻止するために奔走することになるのだが、この部分も結局まるまるブラフだし、そもそもこういう計画にする必然性にも欠けている。
終盤に判明する犯人の真の目的から逆算して考えると、チェスの対局も、マラソンでのテロを偽装するのも「不要」としか言いようがないのである。
劇場版だからということで、いろいろハデな要素を入れたのだろうが、その必要がないんじゃ元も子もない。ミステリーとしては全然ダメ。TV版は良質なミステリードラマとして評価されてるのに、なんで劇場版になったらこうなるかね。
それに、「このテーマ」だったら、むしろTVでの2時間SPでやるべきだったんじゃないだろうか。だって「あの事件」で世論を誘導したのは、TVをはじめとするメディアだった訳だから、是非TVで視聴者に突きつけるべきだったのでは、と思う次第。
それにしても水谷豊の演技は面白いなあ。彼のオモロ演技だけは大画面に耐えうるものだった。