ヒットマン

どうにもこうにも説明不足の『レオン』もどき

暗殺者を子供の時から養成する謎の「組織」に属しているエージェント「47」(ティモシー・オリファント)は、ロシア大統領の狙撃に成功するも、不思議なことに大統領は負傷のみと報じられる。その後、目撃者として大統領の愛人ニカ(オルガ・キュリレンコ)の暗殺を命じられるが、何故か共に「組織」から命を狙われる羽目に陥る。


この映画、いくらでもわかりやすく語れるストーリーをわざとややこしくしているとしか思えない。とにかくよくわからない点だらけなのである。初めは僕の理解力が劣化したのかと思って、大いに焦ったが、思い返してみても、どうにも腑に落ちない点はいろいろある(まあ推測はそれなりにできるが)。
まずニカを殺さなければならない理由がわからない。だってそもそも彼女は「47」の狙撃を目撃していないのだから。だから他に殺す理由がなければならないが、それは説明されない。次に「47」を何故「組織」が裏切ったのかも謎だ。「47」は「組織」の一員なのだから「組織」が今回の一件に関しても事前あるいは事後に説明すればいいだけであって殺す必要はないと思う。さらに言えば「47」がニカを守る動機も、単にいきなり惚れちゃったからとしか思えない。冷酷非情の殺人機械であるはずの「47」がなんでまた今回に限って、そんな「らしくない」行動をとるのか?……などなど、全般的にとにかく説明不足なのである。
結局のところ、なんか本当にシナリオがあったのかと疑いたくなるほどに大味かつ雑な作品という印象が残った。本当はこの手の映画こそ細部のリアリティが大事なのに。
売りのアクションシーンも既成のアクション映画からパクってきたものばかりで新味ゼロ。オルガ・キュリレンコちゃんの美乳が拝めるのが唯一の見所。そんな切ない駄作。