たそがれ

いくつになっても男と女

65歳の根本鮒吉は、いい歳こいて全然枯れてないエロジジイ。妻がガンで入院しているのに、ちゃっかり行きつけのスナックのママと関係を持っている。そんな鮒吉が中学校の同窓会で、昔好きだった和ちゃんと再会したことから忘れていた恋の炎が燃え上がり……という内容のこの作品、ズバリ「老人の性」がテーマである。
考えてみれば当たり前のことだが「老人」と呼ばれるような年齢になった人だって性欲がある人にはある。恋愛だってすることもあるだろう。世間的には、そういう事実を忌避する傾向があるようだが、ジジイやババアになってもセックスしたがって何が悪いのか。ちっとも悪くない。そんなのは当然なんだと、監督のいまおかしんじはこの作品で正面切って言っている。
映画の終盤、ラブホテルに入った鮒吉と和ちゃんがセックスするまでの過程の愛らしさには泣ける。残された人生が決して長くはない彼と彼女にとっては本当に貴重な愛の時間なのだ。そのことが切々と伝わってくる。これから老人になる全ての人が観ておいて損はない作品である。