28週後…

レイジ・アゲインスト・ザ・ワールド

感染すると瞬く間に凶暴化する「レイジ・ウイルス」によって壊滅したイギリスを描いた『28日後…』の続編。
前作のテーマだった「ウイルス感染者よりも普通の人間の方が危険な存在と化す恐怖」が、この作品では、より拡大された形で提示される。何しろ本作でロンドンを統治している米軍は、いざウイルスの再発が始まるや否や、感染者と非感染者の区別がつかないという、あんまりな理由で住民の虐殺を開始してしまうのだ。
この展開は、現在もイラクでテロリストと住民の区別をつけられず、頻繁に一般市民を銃撃してしまったりしている米軍への皮肉とも取れる。そうすると、さしずめ感染者たちはテロリストの暗喩だろうか。そのような寓意を込めたのなら、米軍の掃討作戦をかいくぐり、ウイルスが世界に拡散していく事態を暗示するラストのオチはすんなり納得である。