パンズ・ラビリンス

まるで一昔前の少女漫画のように、主人公の少女が、ひたすら可哀想な目に遭い続けるこの作品。この監督(ギレルモ・デル・トロ)はよほどのサド野郎じゃないかとさえ思ってしまうほどだ。
しかしラストで、なぜ彼女がそれほど辛い体験を重ねなければならなかったのかが判明する。彼女が夢見るファンタジーの世界で生きるためには、現実が耐え難いほど残酷でなければならないからだ。その残酷さが究極に達した時にこそファンタジーは現実と入れ替わり、彼女はその世界で生きることを許されるのである。だから現実における、あの「最後の試練」を経た彼女は、きっと今でもあの世界で幸せに暮らしているに違いない。ていうか、そうであってほしい(涙)。
(白)