L.A.大捜査線/狼たちの街(1985)

製作国:アメリ
監督:ウィリアム・フリードキン
原作:ジェラルド・ペティヴィッチ
脚本:ジェラルド・ペティヴィッチ/ウィリアム・フリードキン
音楽:ワン・チャン
出演:ウィリアム・L・ピーターセン/ウィレム・デフォー/ジョン・パンコウ 他
初公開年月:1986/11

「クリ×××」も仕事の皆様へ

今年も、街に「クリ×××」とかいう西洋の淫猥な祭礼に乗っかったイルミネーションやら何やらが目立ち始めるイヤな季節がやって来ました。特に今年は、その「クリ×××」とやらの本番の日程がちょうど土日に当たるとかで、たぶんその土日には、股間をビンビン・ヌレヌレにさせたカップルがうようよと湧いて出るんだろうなあと想像するだけで異常なまでの殺意が噴出し、もしもTPPに加盟することによって日本国内でも銃器が購入できるようになるのであれば賛成してもいいなあ、などとつい妄想してしまう僕ですが、皆さん、お元気ですか? さて、諸事情により、すっかり映画館から足が遠のいてしまったもので、こんなコラムをでっち上げてみた訳ですが、第一回で取り上げるのは『L.A.大捜査線/狼たちの街』。監督は『フレンチ・コネクション』、『エクソシスト』でおなじみのウィリアム・フリードキン。主演は、いまやすっかり「CSIのヒト」ということになってしまったウィリアム・L・ピーターセンであります。
ところでニッポン人は、働きすぎでワーカホリックで過労死するまで会社に尽くす阿呆ぞろいと西洋人に上から目線でさんざん指摘され続けている訳ですが、この作品のピーターセンはニッポン人なんか遠く及ばない本物の仕事バカなのです。シークレット・サービスに所属しているピーターセンは、天才的な偽札造りであるウィレム・デフォーを、ちょっとどうかと思うほどの執念で追いかけるのですが、その捜査手法があまりにも問題ありすぎ。上司に無断の囮捜査を強行→資金調達のために強盗→盗んだ相手は覆面FBI捜査官…という具合に、あれよあれよと言う間もなくドツボ街道をまっしぐら。仕事バカというよりは「ただのバカ」と呼んだ方が正しい感じさえする体たらくです。
しかし、その辺の冴えないリーマンのおっさん連中が観たら、涙なしでは観られないことは請け合い。会社のために精一杯がんばったのにドツボにハマることなんて、ここニッポンのサラリーマンの皆様においては日常茶飯事だからです。そういう観点で見ると、本作は邦題通りのポリス・アクションというよりも、組織のために生きた男の悲喜劇とも捉えられると思います(ちなみに原題は「To LIVE and DIE in L.A.」)。その哀しいまでの滑稽さゆえに輝く傑作とでも言いましょうか。
まあ、そんな感じの内容なので、どうにもブラックな感じの会社にお勤めの、しょっぱい人生を日々噛み締めていらっしゃるような方々には是非観ていただきたい作品です。以上、平山夢明調でお送りしました。