ジャンパー

歯止めの利かない「のび太くん」

もしも、のび太くんが「どこでもドア」を悪用して、銀行の金庫室から大金を強奪し始めたら、当然ドラえもんが止めてくれるだろう。その例で言うと、本作の主人公ヘイデン・クリステンセン君は、ドラえもんがいないのをいいことに「どこでもドア」を濫用しまくるのび太くんのような人物である。しかもとことん自己中心的な。僕的には、はっきり言って、まことにいけすかないイヤな奴だった。とうとう少しも感情移入できなかった。
例えば、ヘイデン君の部屋のテレビに(恐らく)スマトラ沖地震による津波の映像が映るシーンがある。洪水の中に取り残された被災者たちの映像に、ヘイデン君はチラッと目をやるものの、そのままロンドンまでナンパに行ってしまう。いや、その前にお前、被災者を助けろよ。人として間違ってるだろ。
性格も悪いが頭も悪い。サミュエル・L・ジャクソンみたいな明らかにやばい奴に狙われているのに、彼女とローマ旅行っておかしくないか。また、ジャイアン的な元同級生と再会してもめた時、わざわざ「能力」を使って銀行の金庫室に置き去りにしたが、それで足が着くって考えないのか。お前の人生、行き当たりばったりか。
という具合に、いちいちヘイデン君につっこんでいたので、いまいち楽しめなかった。続編を作る気満々のラストだったが、どうなるんでしょうね。