ジャーマン+雨

「トラウマ」とか「心の傷」とか「癒し」とか「PTSD」とかいう言葉が大流行中であります。ちょっと青少年がらみの事件が起こると、カウンセラーが派遣され「心のケア」を施す。そういう風潮ですよ。でも、この作品の主人公・林よし子なら、そんなもん、まとめてハナで嗤うでしょう。
彼女は16歳。一人暮らしで植木職人の見習いをしており、顔はゴリラーマン似で性格は最悪。友達はヤリマンの女子一人だけ。昔、自分を虐待して、現在は半身不随の父親がいますが、そいつのことは通称「ダンゴムシ」と呼んで忌み嫌っており、歌手を目指して日々たて笛でオリジナル曲を作り続けているのです。どうですか、この不憫さ加減。でも本人は全然自分を可哀想だとも不幸だとも思ってないんですね。下手に「キミは哀しい人だね…」なんて言おうもんなら、たて笛を頭頂部に突き立てられるに違いない。
自分の傷つきやすさを無意識に「売り」にしちゃってる人々の顔面を、ウンコの付いた靴で踏みにじるかのようなよし子の爆走人生を観ていると、一種独特の爽快感が湧いてきます。本作を観た帰り道、ニヤニヤ笑いが止まらず、通行人に気味悪がられました。
とにかく中高生女子は『恋空』より、こっちを観ろ! 以上!
(白)