ダイ・ハード4.0

第一作目の『ダイ・ハード』とは、端的に言えば、絶対的に不利な状況に置かれた主人公が、何度となく死の危機に直面しながらも、それを回避し、最終的にその状況を反転させるに至る物語だった。だからあれほど痛快だったのだ。しかし、シリーズが作を重ねるごとに、その最も重要な「キモ」とも言える要素は削ぎ落とされてゆき、本作に至っては、もはやかけらも残っていない。ブルース・ウィリスは、特権的に死をまぬがれることを約束された余裕を醸し出してしまっている。これは既に『ダイ・ハード』ではなく、出来の悪いアクション映画にすぎない。
(白)