ゼイリブ≪製作30周年記念HDリマスター版≫(1988)

製作国:アメリ
監督:ジョン・カーペンター
脚本:フランク・アーミテイジ(ジョン・カーペンター
音楽:ジョン・カーペンターアラン・ハワース
出演:ロディ・パイパー/メグ・フォスター/キース・デヴィッド/ピーター・ジェイソン 他
★★★☆☆


今すぐ来てくれゼイリブ星人

30年前に観た時は、ただ単に「変な映画」としか思えなかった、この作品。今回30年ぶりの再鑑賞に臨んだところ、『ゼイリブ』といえば皆が思い浮かべるであろう、例のサングラスをかけるかけないをめぐって主人公(ロディ・パイパー)と黒人のおっさん(キース・デヴィッド)が路地裏で延々プロレスするシーンと、サングラスをかけた主人公がビルボードや雑誌に隠されたサブリミナルメッセージを発見するシーン以外は全部忘れていることが、始まってすぐに判明したので、まるで初見のように新鮮に観ることができました。
ところで、とかく映画に登場するエイリアン達は超巨大UFOだの三本脚で歩くロボット兵器だのを使った派手な侵略作戦を展開しがちですが、本作に登場するエイリアン(便宜上「ゼイリブ星人」とここでは呼びます)はそんな野蛮なことはしません。その代わりに彼らは地球人を買収する。「年収アップしてあげて、良い生活させてあげるから協力しろ」というわけです。
恐らくカーペンターとしては、みんなが金に目の色を変えざるを得ない「資本主義社会」に対する風刺のつもりだったんでしょうが、30年後の現在、少なくとも日本ではコレがものすごく有効な作戦だと受け取られる状況になってしまった、と僕としては思います。自民党をいくら応援しても金持ちにはまずなれないけど、ゼイリブ星人に協力すれば絶対年収が上がる!となればですね、「悪いけど俺、地球売りますわ」っていう人が続出すると思う。かく言う僕だって裏切る気満々ですよ。若手女優を恋人にして、ポケットマネーで月旅行に行けるような成功者になるためならゼイリブ星人に一生ついていく所存です。ああ、本当に来てくれないかなー、ゼイリブ星人。